車の財産分与とローン、名義、法律的なこと

車の財産分与についてご紹介します。

 

離婚しても、奥さんが車を乗り続けると??

北海道では家庭に1台ではなく、ひとり1台、車を所有していることも多いと思います。もし、離婚となったとき、それぞれの車はそれぞれのものに、とすることがあります。実はこれ、意外とトラブルになりやすいので、要注意です。ポイントは、ローン、名義、保険、税金など、いっぱいあります…。

 

車のローンが残っていると、名義は変更できない

まず、一番重要なことは、自動車ローンが残っているのか、そのローンが誰の名義なのか、です。基本的に、自動車ローンが残っていると、その名義(使用者)を変更することができません。(ローン会社がOKしてくれないようです)

多くの場合、収入の高いご主人の名義になっているので、その車を奥さんの名義にするためには、ローンを完済する必要があります。ここまではご存知の方も多いと思います。(特に男性なら)

『だったら、ローンはそのままご主人が払い続けて、そのまま奥さんが乗り続けたらいいじゃん!』と思うかもしれません。

実際にこれは、多い考えです。ただ、これが微妙なところなんです。

道路運送車両法という法律の中で、こう書かれています。

第十二条  自動車の所有者は、登録されている型式、車台番号、原動機の型式、所有者の氏名若しくは名称若しくは住所又は使用の本拠の位置に変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う変更登録の申請をしなければならない。

第六十七条  自動車の使用者は、自動車検査証の記載事項について変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、当該事項の変更について、国土交通大臣が行う自動車検査証の記入を受けなければならない。

道路運送車両法施行規則

(自動車検査証の記載事項)
第三十五条の三  自動車検査証に記載すべき事項は、次のとおりとする。
四  使用者の氏名又は名称及び住所(当該自動車の所有者が当該自動車に係る登録識別情報を保有していない場合にあつては、使用者及び所有者の氏名又は名称及び住所)

 

ざっくり説明すると、“使用者”の名前や車の保管場所に変更があったときは、名義(車検証)も変更しないと違法だよってことです。

ちなみに保管場所の変更をしなかった場合、10万円以下の罰金に処される可能性があるらしいです。(自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法) 第十七条 3-1)

ネットのQ&Aサイトによれば、「変更しなくても大丈夫!」と書いていることが多いですが…。

 

仮に奥さんが乗り続けるとして…

ローンの有無や法律のことを無視して、「ご主人名義の車に乗り続ける」ことを想定してみましょう。まず考えて欲しいのは、その車をいつまで乗るか?です。

もし、いつかその車を買い替えたり、廃車にするとしても、すべて名義人である元夫の協力が必要です。他にも、税金はどうするのか?保険料はどうするのか?など、面倒なことはたくさんあります。

そして、もし事故を起こしてしまった場合、どうなるでしょう?元夫に迷惑を掛けることになります。やはり、ローンを完済し、すべて奥さんの名義にしてしまうのが一番です。もし、ローンの返済が難しいようであれば、売ってしまうか、ローンの借り換えもいいかもしれません。

 

自分で離婚協議書を作って失敗

ネット上にある離婚協議書のサンプルで、『甲及び乙は、下記自動車の所有権を乙に移転することに合意した。 甲は、乙に対して、本件離婚成立後、速やかに下記自動車の所有権移転手続きをする。 』と書かれていることが多くあります。

これは、ローンなどの問題がなにもなければOKかもしれませんが、ローンが残っている場合などは、実現が出来ない可能性があるのです。実際、名義変更せず、そのまま乗り続けてトラブルになってしまったケースもあります。(元夫からすれば、なんのメリットもないのに、違法な状態にしておくのは嫌ですよね。事故があれば自分に連絡が来るでしょうし。)

 

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