同居離婚:離婚しても一緒に住み続ける注意点

「離婚してもこのまま元夫と暮らしたいのですが、そうした書類は作成できますか?」という相談があります。このページでは、離婚しても一緒に住み続けるメリットや注意点をご紹介します。

 

どうして離婚しても一緒に住み続けたいか?

生活できない

やはり多い理由としては、経済的な事情です。離婚して実家に戻れる人ばかりではありません。夫と離れて暮らしたいけれど、お金がなくて難しい。せめて離婚届は出したい、と言うことです。

子供のため

離婚はしたいけれど、子供の環境や学区を変更したくないので、引っ越しはしたくない、なども多くあります。

夫(妻)が出て行かない

夫が離婚には応じているけれど、家から出て行かない、というケースも。

 

離婚しても一緒に住み続けるメリット

離婚しても元配偶者と一緒に住み続けるメリットをまとめました。

生活費が節約できる

夫側と妻側の二軒の家を維持するよりお金はかかりません。家賃だけでなく、光熱費や食費なども節約できるようです。

子供の環境を変えない

離婚により引っ越しし、子供が転校することがあります。転校しないために同じ学区内で引っ越しをしても、結局は元配偶者の近くに住むことになる。それなら一緒に住み続けても…という方も。これまでと同じように暮らすことで、子供への影響はかなり少なくなるでしょう。

親権で揉めないかもしれない

両親ともに子供と離れたくない場合、みんな一緒に住み続けるのであれば、親権でもめないかもしれません。

自由に恋愛できる

離婚してしまえば、原則的には他の異性と肉体関係を持っても不貞行為にはなりません。なお、事実婚の場合は注意が必要です。

特別な事情がある

子供に病気があって両親の協力が必要、自宅で飲食店などのお店を開いていて離婚しても家から出られないなどの場合も。

 

離婚後に一緒に住み続けるデメリット

離婚後に元配偶者と同居するデメリットとなる可能性をまとめました。

児童扶養手当が受け取れない可能性

原則的に、離婚しても一緒に住んでいる(生計を同一にしている)場合、児童扶養手当は受け取れないかもしれません。例外としては、非親権者が無職の場合などは受け取れるかもしれませんが…。

大学無償化の対象外になる可能性

まずは以下をご覧ください。

Q 父母が離婚し、奨学金申込時点で未成年の生徒本人は親権者である母と二人暮らしです。父から養育費が支払われていますが、父は「生計維持者」に含まれますか。

A 父母がいる場合、原則として生計維持者は父母(2名)となります。ただし、養育費を支払っていても、父が生徒本人と別居しており、同一生計と認められない場合は、生計維持者に含まれません。この場合は母(1名)が生計維持者となります。

引用元:日本学生支援機構

こちらは奨学金に関するQ&Aです。あくまで一例ですが、離婚しても「父親と同居している」と、奨学金の対象などに影響する可能性が書かれています。奨学金=大学無償化ではありませんが、注意した方が良いでしょう。(詳しくは日本学生支援機構にご相談された方が確実です)

将来、貰える年金が減るかもしれない

別居期間を含む婚姻期間は年金分割の対象です。離婚届を出してしまうと、その翌月分からは関係なくなります。自営業者えあったり、自分の方が高収入であれば関係ないことも。

元配偶者の不倫しても慰謝料請求できない

自由に恋愛できると言うことは、不倫の慰謝料を請求できなくなるという意味でもあります。お二人が事実婚なのか、そうでないのか、考えをまとめておきましょう。

会社からの扶養手当や赴任手当がゼロになるかもしれない

例えばご主人の会社から扶養手当、単身赴任手当、出張手当などが支給されている場合、離婚することで受け取れなくなる可能性があります。

年金や健康保険の支出が増える可能性

例えば、奥様がご主人の扶養内で働いている場合、年金や健康保険料は払っていないと思います。これが離婚することで、国民年金や国民健康保険に切り替わり、その支払いが発生することになる可能性があります。すでに奥様が自分で厚生年金などを払っていたり、離婚後にしっかり働くのであれば関係ありません。ご主人が自営業の場合も関係ありません。

財産分与であとで揉めないように

財産分与の請求は、離婚届を出してから2年以内にしなければなりません。(除斥期間) 離婚届を出しても、緒に住んでいるから何もしなくていいや…と放置して2年が経過すると、夫名義の自宅などの権利を主張できなくなる可能性があります。

今はよくても将来、困るかもしれない

「離婚届を出しても、今まで通り、夫の給料は私が管理します」という方がいます。それは、いまは(円満なときは)良くても、いつか元夫が給料をくれない、給料振込先の銀行を変更するなどになってしまうと大変です。

 

偽装離婚と思われないために

近年、ひとり親家庭への金銭的なサポート(大学無償化、児童扶養手当、給食費の無償化など)が増えていることから、SNS上では「偽装離婚した方が得をする」という意見も珍しくありません。もちろん、上記のように不正受給はできないようにルールが決められているので、心配する必要はないかもしれません。

しかし、他人からは「児童扶養手当(ひとり親手当)を受け取っていないこと」は見えないため、「離婚したのに一緒に住んでいる」というだけで、余計な誤解が生じてしまう可能性があります。

誤解されないためには、しっかりと援助のルールを理解し、適切に申請し、準備をすることが重要です。

 

離婚するなら離婚協議書を作成しましょう

離婚するのであれば、その後に一緒に住み続ける場合でも、離婚協議書を作成することがオススメです。

特に自宅がある場合の財産分与、大学無償化が対象外となる前提での進学費用の負担、どちらかに恋人ができた場合にどうするか(事実婚状態なのかの認識)、家賃(住宅ローン)や光熱費などをどちらが負担するかなど、一緒に住み続けるから必要な項目も多くあります。

 

子供の幸せを最優先に考える離婚

行政書士札幌中央法務事務所では「子供の幸せを最優先に考える離婚&公正証書」をテーマに、児童扶養手当や養育費など、離婚後にお子様の経済的な不安をできるだけ減らすことを目的とした書類(離婚協議書や公正証書案)の作成を得意としています。メールやLINEで24時間、無料でご相談頂けます。書類作成の面談(LINEしの音声通話)は2時間まで無料です。どうぞお気軽にご相談くださいね。