離婚でマイホームを売却する際、頭金や親の援助のことで揉めることがあります。簡単にご説明します。
貰ったお金か、借りたお金かが重要
住宅を購入する際に「親に頭金として300万円を出して貰った。離婚して売るなら親に返したい」という相談がよくあります。
最も重要な点はこの300万円が貰ったお金なのか、借りたお金なのかです。借りたお金であれば査定額などに関係なく全額返す必要があります。
貰った頭金の考え方1
頭金を貰った(贈与された)場合、それは個人の財産(特有財産)なので、財産分与の対象とならないことが一般的だと思います。
ただし、マイホームの価値は以下が基本になります。
実際に売れた金額 - 残ローンの返済 - 諸経費 = マイホームの価値
つまり、売ってもローンが残る場合やプラスマイナスゼロの場合は、そもそも価値は無いので、どう分けるかどうかという問題になりません。※逆にマイナスの場合、放棄するという選択肢もありますが…
貰った頭金の考え方2
家を売却し、ローンを精算して諸経費を払ってもプラスになったケースを考えてみましょう。ざっくり書くと、家の価値が半分になった場合、頭金の価値も半分になります。
例えば4千万円の家を購入する際、奥様の親から1千万円の頭金を出して貰ったとします。15年後に離婚することになり、査定に出したところ3千万円で売れることになりました。ローンはあと1千万円です。つまり、この家の価値は2千万円です。(諸経費は無視)
買ったときから価値が半分になっているので、頭金も1千万円から500万円の価値になっています。2千万円の残ったお金のうち、500万円は奥様の親、もしくは奥様の権利と言えるでしょう。残った1500万円を折半して、夫婦で750万円ずつを分けるのが一般的です。
ただ、離婚して家を売るときに、こんなにお金が残るのはレアです…。
借りたお金なら?
では、これが借りたお金ならどうでしょう。ご主人が奥様の親と期限を定めない契約書を交わしていたとします。この場合、ローンと同じなので、全額を返済する必要があります。もちろん、家がいくらで売れるか、銀行からのローンが残っても関係ありません。
ただまず、こうした契約書を作ることは稀です。ほとんど口頭での約束なので、言った言わないになります。また、仮に契約書があったとしても、それはご主人だけが負担するお金なのか微妙です。数年間、奥様も住んでいたのにすべてをご主人の負担とすべきでしょうか。
実際にあるケース
現実的には、こうした契約書を残していることはありません。しかし、奥様の中ではいつか返そうと思っていた、ご主人もそう言っていたということがあります。ただ、いざ離婚するときに、そのお金を払おうと思う男性は稀です。ただでさえ養育費や財産分与があり、慰謝料やオーバーローンの可能性もあります。現実的に払えません。
本当にこうしたケースで揉めそうな場合は、お近くの弁護士さんにご相談されることをオススメします。
ざっくりまとめると、頭金をいくら出して貰っていても、ほとんど戻ってくるケースはありません。5年以上前に買った立地の良いマンションくらいです。
親の土地に建てた家は?
話がかわります。奥様の親の所有している土地にご主人がローンを組んで家を建てた場合です。極稀にある相談です。家の部分だけ売るのは困難です。
ざっくり、土地ごとまとめて売却するか、奥様側が買い取って家を貸し出すか、などが現実的です。
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