離婚しても持ち家は売らない方がお得?

実際のケースでご紹介します。

2004年に建築された札幌市中央区のマンションです。購入価格は2200万円で、頭金なし30年フルローン(金利2%)で返済総額約3千万円、毎月の返済は約8万円。そこに15年住んだのち、離婚することになりました。元本残高は1260万円程です。子供は15歳と10歳です。

査定に出したところ、なんと、15年前の物件にも関わらず、購入時と同じ価格で売れるということでした。諸経費(100万円)を除いても、800万円以上残る計算になります。つまり、いま売ればひとり400万円以上の現金が残ることになります。

とてもお得だと思いますか?

 

母親の目線で考えてみましょう

ちなみにこのマンションの平均賃貸価格は月10万円です。もし、母親と子供があと10年間(下の子供が20歳になるまで)ここと同条件を賃貸した場合、家賃総額は1200万円です。もちろん、実際にはもっと安い物件に住むと思いますが、中高生の子供2人と暮らす場合、ある程度限界があると思います。引っ越し費用や引っ越しのデメリットもあります。

養育費はそれぞれ20歳までひとり4万円(二人で8万円)と仮定します。※ちなみに2011年母子世帯等調査の結果によれば、養育費を受け取っている子供二人の母子世帯の養育費月額平均は5万331円なので、8万円はそこそこ高めの設定です

これから10年間で受け取れる養育費の総額は720万円です。(5年間8万円で480万円、残り5年間4万円で240万円)

だったら、養育費を受け取ってわざわざ狭いアパートに住むより、よほどお得だと思いませんか?しかも、養育費より不払いになりにくいなどもメリットもあります。ただ、マンションの管理費や修繕積立金、固定資産税や火災保険料などを考慮していないので、それらをどちらが負担するかによります。

 

父親にとっても売らない方が得に!?

逆に考えると、父親は養育費を720万円払うことになります。

仮に、これから10年間、毎月10万円の養育費を払う代わりに、月8万円のローンの支払いと2万円の管理費等を払うとします。

10年後のローン残高は約460万円です。もし、仮に10年後も2200万円で売れる場合約1600万円が残る計算になります。(2200万円ー460万円ー諸経費)

ひとりあたり、800万円です。

売る場合 : 400万円(売却時)-720万円(養育費)=マイナス320万円

売らない : 800万円(売却時)-720万円(ローン返済等)=プラス80万円

 

このように、不動産の資産価値が下がらない場合は売らない方がよほどお得なのです。もちろん、10年後も同じ価格で売れる可能性は低いでしょう。ただ、実際に買ったときより高く売れた、というお客様もいました。

価値が下がるとして、それがどの程度かを見極めるかが重要です。一般的に、マンションや立地の良い戸建ては価値が下がりにくいようです。

 

ご主人に良い条件で分与するケースも!

上記の仮定で考えると、奥様はマイホームに住み続けられることに加えて、10年後に800万円を受け取る計算になっています。いますぐ売れば400万円です。

ここで「私は10年後でも400万円だけでいい」と約束するケースもありました。奥様にとっては同じ400万円が受け取れるので、損はありません。賃貸するより、よほど快適です。

これにより、10年後にご主人の売却で受け取れるお金は1200万円になりました。築25年の2200万円のマンションがいくらで売れるかにもよりますが、そう悪い話ではない気もしませんか?ローン契約によっては、父親が万が一死亡した際に、ローンが免除されて子供に家を残せるメリットもあります。

もちろん、固定資産税や修繕費、売却時のリフォーム代などが含まれていないので、この通りにはなりません。なにより、10年後にいくらで売れるかは分かりません。天災のリスクもあります。

また、現在は札幌市中央区で2200万円で買えるファミリー用新築マンションはないでしょう。いつ購入した物件かにも大きく影響すると思います。

 

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