元夫が住宅ローンを払い続けるために

妻が住宅ローンの残る夫名義の家に住み続ける場合、最大の懸念は、ちゃんと元夫が住宅ローンを払い続けてくれるか、だと思います。

 

あんまり心配しなくていいと思う

元夫がローンを払わなかった場合、家が銀行等に差し押さえられて、妻と子供は出て行かなければなりません!というのは、他の(いますぐ家を売らないと大変なことになりますよという不動産屋の)サイトに書いてあるので、割愛します。

個人的には、いま出ていくか、万が一のときに将来出ていくかの違いなので、あまり違いはないように思います。長く住めた方が得ですし、そんな心配をしていたらキリがありません。というか、その心配は、離婚しなくても夫が無職になったらほぼ同じことなので、最初から家は買えないと思います。

 

リスクを下げるために

そうは言っても、その心配はもちろん、理解できます。こうした相談もたくさんあります。そこで、これまで経験から、少しでも役に立ちそうな対策をご紹介します。

 

元妻が引き落としされているか確認する

住宅ローンは、支払いが遅れたらすぐに差し押さえられるわけではありません。最初は通知が来て、何度か連絡があり、それでも無視、もしくは払えない場合に、最終的な手段として差し押さえられるのです。なぜなら、強制的に売却するのは、ローン元も大変ですし、全額回収できないリスクが増えるので、やりたくないのです。その間に、毎月の返済額の見直しや任意売却など、さまざま対応も可能です。

つまり、夫が毎月、ちゃんと住宅ローンを支払っているか確認することができれば、リスクを減らすことができます。しかし、ほとんどの場合、夫がローンの支払いを滞納していることを、妻は知ることができません。どうしようもない段階になってから知るのです。

では、元夫の通帳を私が管理すればいい、と考えるかもしれませんが、それは元夫の心情的にも、法律的にも、オススメできません。対策としては、銀行の電子メールお知らせサービス的なものを利用することです。

これはキャッシュカードでお金を引き出したとき、住宅ローンなどの口座引き落としがあったとき、引き落としができなかったとき等に、メールが来るサービスです。ネット銀行などは、複数のアドレスが登録できるみたいです。

※すべての金融機関で行っているサービスではありません

※誰から、いくら入金があったなどは通知されません(銀行による)

 

妻の口座から引き落としってどう…?

インターネットで検索すると、『まずは夫から妻の口座にお金を振り込んでもらって、その口座から銀行に引き落としして貰えばいいじゃん』的なサイトがありました。確かに、これなら、妻の口座に入金がない時点で気づくことができます。

ただ、経験的には、これを選ぶ女性はいません。なぜなら、元夫は世間体は気にする、外面はいい、などにより、銀行にはちゃんと払うと思うが、私には払わないと思う、ためです。

ほとんどの男性は、銀行と元妻なら、元妻のほうが断然、滞納しやすいのです。養育費を受け取っている割合が2割ほどしかいないのと似た理由です。だから夫に対し、養育費ではなく、ローンを支払いを選ぶ女性が多いのです。

 

面会を続ける

論点がズレますが、結局は元夫がちゃんと住宅ローンを支払っているか確認する方法を探すより、ちゃんと払ってくれるように対策することが重要です。どのみち、元夫が絶対に払いたくない、となれば、かなり困難です。

では、どうして元夫が住宅ローンを払いたくない、となるか。もっと言えば、最初は子供のために?住宅ローンを自分が払い続けて、妻と子供が住んでいい、という状況から気持ちが変わるか。それは、子供との関係、もしくは元妻との関係が悪化したためです。(病気や収入減、元夫の再婚などは除く)

元妻との関係悪化の原因は、元妻に新しい彼氏ができた(誤解も含む)、元妻の給料が良くて話が違う、などです。これはどうしようもないと思うので、触れません。

重要なのは、子供との関係悪化です。子供と父親が会わなくなる、子供から嫌われると、頑張ってローンを払うのが虚しくなるのです。理由はさまざまです。子供が成長すれば、反抗期もありますし、それは当たり前のことです。ただ、なかなか理解してくれません。

子供の気持ちが最優先だから仕方ない!無理やり会わせることはできない!と思うかもしれません。ただ、面会だけが方法ではありません。子供の写真や動画を送る、子供の生活、成長の様子を伝える、感謝の気持ちを代わりに伝えるなど、方法はたくさんあります。

当事務所では、子供の幸せを最優先に考える離婚協議書をテーマに掲げています。それは、子供が経済面、愛情面で少しでも幸せになるためにどうすればいいか、ということです。父親と母親の関係をこれ以上悪化させず、面会等を続けることで、養育費の不払いの確率が減り、子供は愛情面でも経済面でもメリットが多くなるのです。

 

再婚時の約束も決めること

これは夫、父親側へのアドバイスです。子供の養育費を払う義務があること、元妻が再婚したら養育費を払わなくていいことはご存知だと思います。※条件があります

ただ、元妻が再婚したことをどうやって知るか、考えたことはありますか?

実は、元妻が再婚したことを、元夫に知らせる義務はありません。つまり、元夫が知らなければ、そのままずっと払い続けることになるでしょう。ちなみに、知ったときに、再婚してから今月までの養育費を返せ!というのも大変です。養育に使ったお金は返す義務があるか、義務があったとしても返すお金があるか、その請求にどれだけの費用と時間がかかるか、など…。

なぜ、ここでこの話をご紹介したかというと、元妻の再婚と住宅ローンの支払いで怒っている男性が多いためです。妻目線で考えてみましょう。

・養育費の代わりに家賃(住宅ローン)を払わずにタダで住んでいる

・再婚したら養育費はもらえない=この家に住めなくなる

→じゃあ、籍は入れずに事実婚として彼とこの家に住めばいいんだ!籍を入れても、元夫にバレなければいいや!と、いうケースがあるのです。

これを防ぐためには、再婚する際に連絡して養育費について協議すること、連絡せずに養育費を受け取った場合は再婚した翌月からの養育費を返還すること、無償でこの家に暮らすのは再婚か事実婚状態になるまで、などの約束を、ちゃんと書類に残す必要があります。

専門家に離婚協議書や公正証書の案の作成を依頼した場合でも、自動的に盛り込まれているとは限りません。現に、インターネット上のサンプルのほとんどには書かれていません。その点、当事務所では必ず、こうしたことも面談時にご案内しています。

逆に言うと、こうした内容を奥様側からご主人に伝えることで、ご主人の不安を軽減し、トラブルを防げるかもしれません。

 

離婚の前に知っておくべき100のこと

当事務所ではこれまでたくさんの離婚や不倫の相談に応じてきました。LINE登録は4千件以上です。これまでの経験や知識を「離婚の前に知っておくべき100のこと」としてまとめています。

書類作成の費用や当事務所のことはトップページの『子どもの幸せを最優先に考える離婚相談』をご覧くださいね。全国からご依頼いただけます。