離婚しても持ち家に住み続けた方がお得?

離婚の際、マイホームがある場合はマイホームをどうするかが最も重要です。養育費や慰謝料よりも重要、と言っても良いと思います。最近では、奥様と子供が住み続けた方がお得な可能性もあります。特に、母親だけでなく、父親にとってもお得な可能性があります。マイホームがある場合は、必ず読んで欲しいページです。

 

概要

・奥様と子供が住み続けた方がお得!?

・ローンは夫のまま、名義だけ妻に変更できるか?

・住宅ローンを妻名義に借り換えることは可能?

・養育費と住宅ローンの関係は?

・夫名義の家に住むと児童扶養手当が受け取れない?

・夫名義のマイホームに住み続けるリスクは?

・夫名義の家に住み続ける場合の財産分与は?

・元夫が住宅ローンを払い続けるためには?

・別居中の夫が家を売るから出て行けと言ってきたら?

・連帯保証や連帯債務から外れたい…

・家を子供名義に変えたい…

 

住み続けるメリット、理由

まずは、離婚後もマイホームに住み続けるメリットや住み続けたい理由をご紹介します。

【メリット】

・子供の学区や保育園を変える必要がない

・引っ越しによる子供の影響がない

・父親は養育費を払うよりお得になる可能性も

・父親と子供が面会しやすくなる

・同じ広さの部屋を賃貸するより、住宅ローンを払う方が安い

もしも夫が死亡したとき、養育費はゼロになるが家は残るかも

養育費を貰うより圧倒的に楽

【持ち家に住み続けたい理由】

・子供がいまの家に住み続けたいと言っている

・頑張って建てた家に住み続けたい

・家を妻の実家の近くに建てた

 

父親もお得?

離婚後も父親名義のマイホームに母親と子供が住み続ける場合、母親と子供にとってメリットが大きいことは想像しやすいと思います。しかし、父親にとっても金銭的にメリットがある可能性もあるんです。

例えば、子供が5歳で養育費が毎月8万円(年間96万円)の場合、20歳までの15年間で養育費の合計は1440万円です。仮に養育費の代わりに月額8万円の住宅ローンを払うとします。

札幌市はこの数年で異常なほどに不動産価格(物件価格、坪単価)が上昇しています。実際に20年前に買った家が購入額より高い金額で売れた、というお客様もいました。試しに、お近くの築20年以上30年未満の中古物件を検索してみてください。その年数とは思えない金額で売られています。(リフォーム代金なども関係しますが)

もし、15年後に現在と同じ金額で売れた場合、その1440万円の半分が自分(ご主人)に返ってくる可能性もあるということです。(15年後に売却し、利益を元奥様と折半した場合。諸経費や住宅ローン金利、固定資産税は無視)

もちろん、15年後に現在と同じ金額で売れるとは限りません。通常は下落します。しかし、下落幅が1440万円以下かもしれません。こうした理由から、父親の資産形成(賃貸経営)として養育費の代わりに住宅ローンを払い続けるケースも増えています。

 

妻が買い取るケースも増えている

妻が買い取るケースも増えています。どうせアパートの家賃と住宅ローンの毎月の支払いが同じ金額なら、住宅ローンを払った方がお得ですよね。自分の資産になるのですから。妻と子供が住み続ける場合、夫から買い取るケースがあります。

これは超低金利の今だから選べることです。例えば、旦那様がどうしても家を売りたい、けれど、妻はパートでローンが通らない、という場合、奥様が正社員になって1年以上してからローンを借り換えた、という方もいました。今すぐ売る、売らない、以外にもたくさん選択肢があります。

 

売った方が良いケースも

絶対に売らない方がいい、というわけではありません。例えば、父親が失業して住宅ローンが払えない、滞納している場合などは、離婚に関係なく売ることになると思います。借金がある場合やそもそも破綻している場合などです。そうした場合、任意売却は有効です。逆に言うと、毎月の住宅ローンの支払い程度の養育費を払ってくれるのであれば、売らないことも一考の余地があるかと思います。

 

当事務所には関係ありません…

家を売らないメリットを長々と書いていますが、当事務所はお客様がマイホームを売っても売らなくても、なんの関係もありません。どちらでも書類作成費用は同じです。このページを書いた理由は、離婚後の暮らしに困るお子様がひとりでも減ることを願っているためです。ただ、マイホームに子供と母親が住み続けるためには父親の協力、理解が不可欠です。このため、父親のメリットを中心に書いています。お子様、父親、母親、みんなが幸せになれるお手伝いが出来れば幸いです。もちろん、デメリットやリスクがゼロではないので、一緒にご紹介していきます。

 

こんなにいっぱい!住み続けるメリット

あまりに長くなったので、簡単にご紹介します。まずはメリットです。

もしも父親が癌になったり死亡したときでも家は残るかも

住宅ローンがある場合、ほとんどで団信(団体信用生命保険)に加入していると思います。最近では死亡保障だけでなく、○大疾病特約なども増えています。つまり、もしも契約者である父親が癌などの病気になって働けなくなっても家を子供に残してあげられるかもしれません。これはとても大きなメリットです。当たり前ですが父親が亡くなってしまうと養育費は受け取れなくなります。

父親の目線で考えると、癌などの病気になったとき、養育費を払わなくてよくなる可能性があるということです。(養育費を払う代わりに持ち家に妻と子供を○年、住んでいいと約束した場合)

※100% 団信が利用できるとは限りません。住宅ローンの名義人が住んでいないため。事前にローン元にご相談ください。

養育費を受け取るよりも圧倒的に安心

令和3年度全国ひとり親世帯等調査によれば、「現在も養育費を受けている」割合は、母子家庭で28.1%だそうです。(ただこれは、母親がそもそも養育費を請求していない場合も含まれているので一概に「貰えるのに貰えていない」とは限りません。)

どうしても元夫から養育費(現金)を払って貰うのは大変です。その点、住宅ローンの支払いは元夫と銀行の契約なので、払わないときに困るのは元夫です。督促されるのも、破産するのも元夫です。普通に働いている大人であれば困ります。直接養育費を払って貰うより、住宅ローンを銀行に払って貰う方が圧倒的に楽です。

養育費を払うより金銭的にプラスかも

上記でも紹介しましたが、家を売って養育費を払うより、住宅ローンを払って子供を住まわせてあげてあとで家を売った方が、金銭的にプラスになる可能性もあります。もし仮にいまと同じ価格で売れるなら、支払う養育費分がまるまる得になるかもしれません。(売却利益をすべて父親にした場合)

面会もしやすくなり、愛情も残りやすい

法律上、離婚後に元妻が引っ越し先を教える必要はありません。遠方に引っ越す可能性もあります。しかし、マイホームに住み続ければ、居場所もハッキリし、引っ越す可能性も低くなります。結果、子供との面会が継続しやすいでしょう。奥様が田舎の実家に帰るより面会しやすいと思います。

子供への影響が少ない

子供の学区や保育園を変える必要がない、子供の引っ越しによる影響がないというのは、非常に大きなメリットです。

同じ広さの部屋を賃貸するより、住宅ローンを払う方が安い

多くの場合、現在の住まいを賃貸すれば毎月の住宅ローン以上に高額です。子供が小さければ安いアパートで暮らすことも可能ですが、お子様が中学生以上になると大変です。

 

住宅ローンがある場合、ローン元に相談する必要があります

ただ、なにも心配がない、ということではありません。住宅ローンがあり、所有者(名義人)であるご主人がその家から引っ越す場合、必ずローン元に相談(報告)する必要があります。その中で、一括返済が求められるケースがあるそうです。経験上、一括返済を求められた方は過去にいませんが、可能性がゼロなわけではありません。ご注意ください。

 

家を売らない父親側のリスク、デメリット

他にもリスクやデメリットもあります。まずは父親側をご紹介します。

自分が再婚しにくくなる

再婚してマイホームを買おうとしても、2重に住宅ローンを組むのは難しいでしょう。また、再婚相手も住宅ローン(借金)があることは嬉しくないでしょう。

固定資産税や修繕費

もし、マイホームを破壊されたらどうなるか。その他、修繕費、固定資産税、火災保険料などの負担についても決める必要があります。マンションであれば管理費や修繕積立金もあります。

住宅ローン減税が受けられなくなる

基本的に、住宅ローン減税は受けられなくなります。

価格下落のリスク

現在は不動産価格が高騰しています。しかし、10年後は分かりません。高く売れるうちに売ってしまった方がよいという考えもあります。

精神的に大変

何百万円、何千万円の借金を背負うことは精神的な負担です。メリットは分かっていても、とにかく解放されたい、という意見は多いです。最も売りたい理由です。

 

住み続ける母親側のリスク、デメリット

次に母親側のリスクやデメリットをご紹介します。

旦那がローンを返済しなかったら

よく書かれているデメリットです。職業などに大きく影響します。ただ、基本的に一番困るのはご主人です。銀行からの借金を踏み倒すわけですから。そしてそこまでの人はそもそも養育費も払わないと思います。

旦那名義の家に住むと児童扶養手当が貰えない?

旦那名義の家に住むと児童扶養手当が貰えないわけではありません。ただ、居住費を受け取っていると判断されると金額が下がる可能性も。

母親が再婚するときはどうなる?

母親が再婚するときは家から出ていくことが多いと思います。それ故、再婚しにくくなるというデメリットも。

光熱費が高すぎる?

北海道特有の問題として、戸建ての場合、暖房代が高すぎることあります。冬は月に5万円以上という家庭も。光熱費が高すぎて住み続けられないという相談も珍しくありません。

 

所有者の住所変更も登記が必要になりました

法律が改正され、所有者の住所が変更した場合、住所の登記変更が義務化されました。これにより、離婚して夫名義の家に住む場合、影響が出る可能性があります。専門家に相談の上、対応してください。

 

離婚の前に知っておくべき100のこと

当事務所ではこれまでたくさんの離婚や不倫の相談に応じてきました。LINE登録は4千件以上です。これまでの経験や知識を「離婚の前に知っておくべき100のこと」としてまとめています。

書類作成の費用や当事務所のことはトップページの『子どもの幸せを最優先に考える離婚相談』をご覧くださいね。全国からご依頼いただけます。

 

全国からご依頼いただけるようになりました

これまでご依頼は会って面談できる方だけに限定してきましたが、国、どこにお住まいの方でも離婚協議書(公正証書案)の作成をご依頼いただけるようになりました。LINEのテキストや無料通話などで面談し、郵送で対応しています。土日祝も営業しています。どうぞお気軽にご相談くださいね。

ご依頼された場合の費用(離婚協議書と公正証書案の作成)は5万円と消費税です。当事務所の特徴や費用などはトップページの『子供の幸せを最優先に考える離婚相談』をご覧くださいね。