子供のいない離婚の進め方

少しだけお子様のいない離婚についてご紹介します。

離婚の43%が未成年の子供のいない離婚

厚生労働省の調査によると『親権を行わなければならない子の有無』で『あり』という割合は、57%となっています。つまり、残りの43%は未成年の子供がいないで離婚する、ということです。もちろん、子供が全員成人している夫婦の離婚も含まれています。未成年の子供がいなければ親権や養育費などのことを考える必要がありませんが、それはそれで大変なこともあります。このページでは未成年の子供も成年の子供もいない離婚についてご紹介します。

 

子供のいない夫婦の悩みどころ

お子さんがいない夫婦の離婚(子なし離婚)は、結婚して10年以内で、40歳未満のご夫婦に多いように感じます。離婚の原因がどちらかの不貞やDV、借金など明確な原因なら話は早いのですが、性格の不一致だと、ちょっと大変かもしれません。家族や周囲から、『そんな理由で離婚しなくても…』『もうちょっと我慢したら?』など、離婚に反対される意見が多いようです。子供がいれば、意外と離婚を応援してくれることが多いのですが…。

そして、やっかいなことに、離婚原因の半数以上が「性格の不一致」によるものです。若いというだけで『なんにも考えずに離婚するのか』『我慢が足りない』など、周囲の声に悩んでいるというご相談もあります。離婚するなら妊娠する前の方がいい、という考えも多く、今すぐ離婚した方がいいのか、我慢した方がいいのか、悩ましいかもしれません。

 

離婚協議書を作成するメリット

離婚届を提出するだけで離婚は成立しますが、子供のいない夫婦の離婚でも、離婚協議書を作成するメリットがあります。

・どんな理由で離婚したかが明確になる

札幌市で女性が再婚する割合は約4割です。子供がいない女性であれば、もっと高いでしょう。再婚は思っているより、とても身近なものです。再婚のとき、相手の方はどうして離婚したのか気になるかもしれません。そんなとき、どういう理由で離婚したのか、慰謝料はどうなったのかを書いた離婚協議書があれば相手の方を安心させることができるかもしれません。もちろん、見せる機会はないかもしれませんが、なくて困るよりはいいと思います。

・しっかり慰謝料や財産分与を受け取ることができる

慰謝料や財産分与がある場合は離婚協議書が重要です。後になって、足りない、受け取ってないなど、トラブルになることがあります。他にも、車のローンが終わったら名義変更する、退職したら退職金の一部を支払う、などの将来に受け取るものがあれば、必ず文書に残しておくべきです。

・離婚後のトラブルを防止できる

離婚後でも、慰謝料や財産分与を請求することができます。

離婚後にお付き合いする異性ができたことを元配偶者が知って、『これは婚姻中から付き合っていたに違いない!不倫だ!慰謝料を払え!』と主張してきたケースがあります。

もちろん、離婚後の交際開始であれば不倫ではないので慰謝料を支払う必要はないのですが、やはり面倒なことは最初から起こらない方がいいでしょう。他にも、離婚時は『なにも要らない』と言って離婚したのに、後になって『やっぱりアレはおかしい!』と主張してくるケースもあります。せっかく離婚して新しい生活をスタートさせたあとに、こんなトラブルは嫌ですよね。

離婚協議書の中に、しっかり財産分与が完了していること、慰謝料は発生しないこと、今後、一切の請求をしないことを明記すれば、それらのトラブルが起こる確率が格段に下がります。

・年金分割のこと

共働きでも、夫婦の収入差があれば、ご主人の年金の一部を分割できます。年金分割は専業主婦だけの制度ではありません。意外と知られていないので、忘れずに確認しましょう。

・今後、どう関わっていくのか

子なし離婚の場合、離婚してしまえば他人です。しかし、そう単純なケースばかりではありません。結婚する際に、相手方の親や兄弟にお世話になったかもしれません。また、お互いに今後、どう関わっていくのかも考えておく必要があります。

・離婚後、お互いに一切の連絡をしない

・相手方のご家族に不幸があった場合、連絡する(葬儀に参列できる)

・同僚や共通の友人などに、夫婦間でしか知り得ない内容を話さない(性生活や個人的な趣向など)

・手紙や写真などはお互いに破棄する

など、決めておくべきことは、色々とあります。特に、同僚や共通の友人が多い場合、実家同士が近所の場合などは、トラブルになる可能性があります。

 

作成するデメリット

離婚協議書を作成するデメリットはあまりありません。作成に費用がかかることと、相手が協力的でない場合に面倒なこと(意外とこれが大きな要因です)くらいです。あとでトラブルになり後悔するよりは、ちょっと面倒でも作成した方がいいでしょう。ちなみに、離婚届を出すだけだと実感が得られないので、離婚届を出したあとに離婚協議書を作成される方もいます。

 

子なし離婚に対する当事務所の考え方

『子供ができる前に離婚した方がいいと思いますか…?』と聞かれることがあります。

あくまで個人的な意見ですが、どちらでも良いと思います。

結婚を続けて子供が生まれて幸せな家庭を築けるかもしれませんし、子供が生まれて数年後に離婚しているかもしれません。いますぐ離婚して素晴らしい人と再婚して幸せになれるかもしれませんし、一生再婚することなく子供を抱くことがないかもしれません。そもそも事情があって結婚を続けても子供を授かる予定がないこともあります。

結婚を続けても、離婚しても、良いことも悪いことも必ず両方あります。将来のことなど誰にも分かりません。人生の重大な決断を下すとき、まったく不安がない、という人が少ないと思います。どちらを選んでも不安はあります。

大事なことは、自分の気持ちや直感を大切にすること、悩み過ぎないことだと思います。他人の意見を信じ過ぎると、あとで後悔するかもしれません。悩み過ぎて病んでしまうと、それ自体が大変です。自分自身を大切にすること、少しだけ覚悟を決めることが大切です。

※現在、当事務所では基本的に未成年のお子様がいる方の離婚協議書の作成を中心に行っております。予めご了承ください。