当事務所では「夫や妻に浮気されても離婚しない」をテーマに書類作成をしています。どんな理由があっても、離婚すると子供に大きな影響が出てしまうためです。
浮気の相談は女性からの問い合わせが多いため、このサイトでは「夫の浮気」を中心に書いていますが、全体の3割は男性からのご相談、「妻が浮気した」という相談です。そして、その多くが「妻に浮気されたけれど、子供のために離婚したくない。離婚すると親権が妻側になり、子供と会えなくなるから」という内容です。
「妻と離婚はしないが、浮気相手の男は絶対に許せない。慰謝料請求以外に、妻の不倫相手に制裁を加えることはできるか?」「妻の浮気が忘れられない」というご相談も多くあります。
男性の浮気は許されるが、女性の浮気は許し難い
こうしたことを聞いたことがあるかもしれません。割合は分かりませんが、妻の浮気は許せない、離婚する、という男性が多いそうです。しかし、当事務所に相談される男性は、離婚しない方がほとんどです。妻に浮気されて離婚しないことは、負けではありません。離婚しない男性がどんなケジメをつけて、次に進んでいるか書きたいと思います。
妻の浮気はダブル不倫が多く、慰謝料請求が難しい
男性は、若い独身女性と浮気するイメージがあると思います。実際にそうしたケースが多いです。
では、既婚女性が若い独身男性と浮気しているイメージは多いでしょうか?
おそらく、多くないと思います。例えば、妻が不倫する有名なドラマなどは、不倫相手の男性も既婚者であることが多いように感じます。こうした、既婚者同士の不倫(ダブル不倫)では、双方の配偶者が慰謝料請求できることが多いため、離婚しないと慰謝料請求が難しいことがあります。(お互いに離婚しない場合、慰謝料が相殺されてしまう)
女性(妻)の浮気はダブル不倫が多い → 男性(夫)は離婚しないと慰謝料請求が難しい → 男性は慰謝料以外の制裁を希望する
という流れが、女性に比べると相対的に多いように感じます。
慰謝料以外の制裁を求めない方がいい
もちろん、奥様の不倫相手が独身であっても、慰謝料以外にも制裁を与えたい、という男性は多くいます。浮気相手の男性が会社を解雇されて欲しい、不倫が会社中にバレて欲しい、家族や知り合いにバレて欲しい、など、破滅して欲しいという希望が多いです。
結論から書くと、そうした希望は持たない方がいい、とアドバイスしています。
奥様と離婚しない場合、不倫相手の男性から慰謝料50万円から80万円くらいを受け取ることしかできないことが多いです。そしてそれは、妻に浮気された多くの男性が同じです。
確かに、不倫相手が芸能人など有名人なら、不倫の事実がメディアで拡散されて、仕事を失うかもしれません。一般人でも公務員で業務中に不倫している場合などは、正式に処分されることもあります。
しかし、ほとんどのケースでは、浮気された側が望むような結果にはなりません。不倫相手の男性の会社にバラしたところで、「そうですか…」で終わりです。むしろ、ご主人側が不審者のような扱いを受けることもあります。浮気相手が子供の担任の教師で、それを学校に行ったところで、望むような結果にはならないです。
ご主人が「不倫相手の男が社会的に破滅すればいい!」と願って、行動すればするほど、その願いが叶わなかったときに、イライラしてしまいます。このため、最初からこうした期待は抱かない方がいいよ、と個人的には思います。
そもそも、不倫相手の男性の会社に、不倫の事実をバラしていいとは言えません。こうしたことをして、逆に会社から「営業を妨害して、損害が出たから損害賠償を請求する」と言われてしまったケースもあるそうです。
インターネットの掲示板の情報では、さまざまな制裁に成功した例が書かれていますが、これを信じ過ぎない方がよいと思います。嘘だとはいいませんが、現実的ではないと感じます。多少、役職の降格や勤務地の異動はありますが、浮気された側が納得できるほどの結果にはなりません。
男性への制裁より、家族のことを
「だったら、離婚して、可能な限り高額な慰謝料を男に請求する!離婚した方が慰謝料は高くなるんですよね?」という方もいます。それが悪いとは言えません。
ただやはり、どうでもいい男のために離婚することは、もったいないと感じます。不倫相手の男が不幸になったところで、ご自身が幸せになるわけではありません。
浮気相手が絶対に許せない、という考えは、たくさん聞いてきたので理解しているつもりです。一生、不倫相手を許さなくていいと思います。その怒りを過小評価しているわけではありません。
ただ、ご主人の幸せのために、本当に離婚するのか悩ましいところです。
再構築できる男性は、現実的な人が多い
「妻に浮気されて、これから本当に再構築できるのだろうか?つらいだけでは?」と不安に思うかもしれません。少し、再構築できた男性の特徴を書きます。
これまで「妻に浮気されても再構築できた男性」の特徴を考えると、現実的な人が多いような気がします。
例えば、「キャバクラに行ったくらいで怒るなんて」という男性もいれば、「絶対にキャバクラなんか行かない」という男性もいます。どちらが正しいということではなく、考え方は人によって大きく異なるということです。
「妻が浮気した」という事実は同じでも、それに対して、「離婚しかない」と感じるか「許せないけど離婚するほどじゃない」と感じるかは、かなり個人差があります。
そして、「自分も後ろめたいことがゼロではないから。結婚する前は風俗とか行ったことがあるから」のような話をされる男性も多くいます。(浮気したことあるし、という人もいます)
浮気に関わらず、「お互い様」という考えは重要だと思います。完璧な男性も、完璧な女性もいないと私は思っています。「〇〇と浮気を一緒にするな!」という考えも理解できますが、浮気も浮気以外も、人は誰も間違うことがあります。
ご自身の過去を振り返ってみると、意外と、冷静になれるかもしれません。(自分も浮気したり、風俗に行ったことがあるけれど、自分はいいけど妻は絶対にダメ、という人もいるかもしれませんが…)
結論を急がない
半年、1年経っても許せないようであれば、そのときに離婚すればいいと思います。いますぐ離婚しなければならない理由はほとんどないと思います。
そのためにも、不倫相手にはさっさと慰謝料請求して、けじめをつけて、とりあえず次に進むべきだと思います。不倫相手の方は終わりにして、夫婦だけの問題にした方がスッキリします。
不倫相手の男性に慰謝料請求することで、色々なことが分かってくることもあります。
相手が反省しているのか、そうでないのか。相手が普通の人なのか、そうでないのか。奥様が言っていることは本当なのか、そうでないのか。そうしたことを知った上で、離婚するかどうかを判断しても遅くないと思います。
そして、相手が不倫の事実を認めてから、何かしらの制裁を考えてもいいはずです。
まとめ
・妻の不倫相手に慰謝料以外の制裁を求めることはご主人のためにならない
・妻に浮気されても離婚しない男性は現実的
・まずは不倫相手に慰謝料請求してみて、そのあとに制裁を考えた方が楽
お子様や、結婚を祝福してくれた親や友人のためにも、離婚する夫婦が1組でも減るお手伝いができたらと思います。慰謝料請求書や誓約書などの作成であれば、お気軽にご相談くださいね。