もし、再婚した場合、養育費はどうなるでしょうか??
父親が再婚しても、養育費は受け取れる
まずは父親が再婚した場合をご紹介します。父親が再婚した場合でも、基本的には養育費には関係がないので貰えます。
ただ、父親と再婚した女性との間に子供が生まれたり、子供がいる女性と再婚してその子供と養子縁組した場合などは、養育費の減額が認められる可能性があります。
養育費は、算定表と呼ばれる表に基づいて計算されることが多いと思います。この算定表は、お子様の人数によって目安が決まっています。このため、父親が何人の子供を扶養するかが関係するのです。
極端な例を書きます。
離婚時、子供が1人いて、母親が育てることになったので養育費を月額10万円貰う約束で公正証書を作成しました。離婚した翌月、父親が、子供が9人いる女性と再婚し、子どもたちと養子縁組しました。父親がこの9人の子供に使えるお金は毎月10万円しかありません。前の奥さんとの子供は1人で10万円、こちらの奥さんとの子供は9人で10万円では、不公平ですよね。子供はみんな平等に扶養を受ける権利があります。このため、一人あたり2万円にしましょう、となる可能性があります。
つまり、養育費が月10万円から2万円に減額される可能性がある、ということです。
母親が再婚すると、養育費は受け取れない
母親の再婚相手と子供が養子縁組をした場合、養父に扶養義務が生じるため、元夫の養育費の支払い義務がなくなることが多いようです。
ただ、再婚相手と子供が養子縁組をすれば、直ちに元夫が養育費を渡さなくていいというわけではありません。養父の収入が極端に少ない場合などは、そうした場合でも元夫が養育費を払い続けることもあります。他にも、再婚したけれど別居婚で、再婚相手が子供を一切扶養しない場合なども、実父の養育費支払い義務が続く可能性があります。このため、父親が勝手に「払わない」と判断せず、当事者(父母)同士が了承するか、家庭裁判所での手続きが必要となります。
実務的には、母親の方が、再婚したから養育費はもういらない、その代わり面会もなしで、ということが多いです。(この場合の実父と面会させないことも別の問題になります…)
養子縁組しなければ養育費は貰える?
これは微妙なところで、事実上、再婚相手が養っているような場合は、養育費の減額請求の対象となるようです。
再婚せず、事実婚ならどう?
養育費を受け取っている場合、再婚すると養育費が受け取れなくなるので籍は入れない…というケースは非常に多くあります。結婚はもうこりごり、という気持ちもあります。
真面目に答えると、基本的には事実婚であっても、彼氏が子供を養っている場合などは養育費が受け取れなくなる可能性があります。一緒に住んでいる場合などです。
ただ、実際にはどの程度、扶養されているのかを外から判断することは難しく、また元夫がそれを知る手段もないため、養育費はそのまま、ということが多いと思います。
もし事実婚(もしくは彼氏ができたこと)が元夫に知られるとすれば、それは子供と元夫との面会で、子供が言ってしまうことです。別に悪いことをしているわけではないので言ってダメではありませんし、子供が責められることでもありません。しかし、ここから揉める(養育費を払わないと言い出す)ことはあります。
逆にこうした懸念があり、父親と子供の面会を拒否するケースもあるようです。父親からすれば、元妻が再婚しようが彼氏ができようが養育費を払うから、ちゃんと子供を会わせて欲しい…という方もいます。難しいところです…。
再婚したことを、元夫に報告する義務はあるのか?
再婚する場合、再婚することを元夫に報告する義務はあるのでしょうか?
基本的にはありません。再婚相手と養子縁組する際も、元夫の許可などは必要ありません。ただ、元夫さんが戸籍を見ると、再婚したかどうかは分かる可能性が高いようです。
逆に、父親の立場で考えると、離婚協議書にて再婚したことを知らせるよう約束させるべきでしょう。
再婚後も元夫から養育費を貰ったら罪になる?
では、『再婚して、再婚相手と子供が養子縁組したけれど、それを元夫に報告せず、養育費を貰い続けたら』どうなるでしょうか??罪に問われるでしょうか??
罪には問われないようです。
では、元夫から後になって、『再婚後に払った養育費を返せ!不当利得だ!』と言われた場合、再婚後に受け取った養育費を返還する必要があるのでしょうか??
これも、子供のために使ってしまい、お金がない場合は返還する必要はないようです。ただ、元夫が返還請求など、正式な手続きを始めた時点から結論が出るまでに受け取った分は、返還を求められる可能性があるようです。
そもそも、再婚相手と養子縁組したからといって、完全に元夫に扶養義務がなくなるわけではないと考えられています。実の父親なのですから。