札幌で離婚の慰謝料を請求したいとき

行政書士札幌中央法務事務所では、これまでたくさんの離婚協議書や公正証書案を作成してきました。現在のLINE登録は2500件を超えています。

その中には「浮気が原因で離婚するので慰謝料を請求したい」「モラハラが原因で離婚するので慰謝料を請求したい」「離婚したいと言った方が慰謝料を払わないとダメなんですか?」など、離婚の慰謝料についてもご相談が多くありました。

このページでは、離婚と慰謝料についてご紹介します。

 

離婚=慰謝料ではない

離婚するとき、必ずしも慰謝料が発生するわけではありません。離婚の慰謝料は、浮気や暴力など、一方が離婚原因を作り、それによって離婚する場合の精神的苦痛を賠償するためのお金です。つまり、離婚原因の約半数を占める「性格の不一致」が原因の場合には、基本的は慰謝料が発生するとは考えにくいかと思います。当事務所の作成する書類でも、慰謝料を払うという内容は4割未満だと思います。

 

離婚後の生活保障のような面も

ただ、性格の不一致などでも慰謝料を貰った、払った、というような話を聞いたことがあるかもしれません。それは慰謝料ではなく、別の意味合いのお金を慰謝料とした可能性があります。

最も多いのは、離婚に応じて貰うためのお金です。例えば、明確な離婚理由がない状態で夫が妻と離婚したいとします。奥様が専業主婦の場合など、離婚後の生活が不安で離婚したくない、と考えるかもしれません。そうしたとき「慰謝料○○万円を払うから離婚してもらえないでしょうか?」と夫が妻に提案することがあります。

慰謝料と呼ばれるお金でも、離婚後の生活保障や離婚に応じて貰うためのお金かもしれません。男性側が早く離婚したい、というケースに多いと思います。

 

浮気、暴力、モラハラ、借金

離婚の慰謝料に関する相談において、原因として多い順に浮気、暴力、モラハラ、借金、その他です。簡単にご紹介します。

浮気・不倫

一番、多いご相談です。浮気や不倫のとき、離婚するかしないか、が重要になります。離婚しない場合は、それほど証拠が重要ではないかもしれません。逆に離婚する場合は、証拠が重要になります。また、求償権と慰謝料請求する順番も重要です。不倫の場合、浮気した配偶者と、その浮気相手にも慰謝料が請求できます。ただ、慰謝料は二人合計でいくら、と考えるのが基本です。つまり、先に浮気した夫から300万円を貰ってしまうと、そのあとに浮気女性に請求しても、ほとんど払わないことになる可能性があります。厳密に説明すると非常に長くなるので、浮気や不倫が原因の場合は、離婚するかしないかに関係なく、お気軽にご相談くださいね。詳細はこちら

暴力

相談の中で、聞いていて辛いのが暴力です…。そして、対応も非常に難しいです。暴力が原因の場合、同居を続けるのが怖い(すぐに別居したい)、けれど、ご主人が怖くて離婚したいと言い出せない(二人で円満に離婚協議ができない)などが多くあります。そして、奥様が病んでしまうケース(怖くて正常な判断ができない)などもあります。また、暴力をふるう男性は、話し合いも難しいです。「養育費なんか払わない」「お前が離婚したいんだから俺に慰謝料を払え」「子供をおいて出ていけ」など、理解しがたいことを言い出すことがあります。

ちなみに、暴力があったときは、すぐに警察を呼ぶのが安全です。最近では、そうした家庭内の暴力が原因で警察沙汰になった、というニュースが頻繁にあります。(以前はそうしたことが報じられることは少なかったですよね) 逆にいうと、警察を呼んでしまうと、おおごとになり、夫が会社をクビになるのではないか、という心配もあるかもしれません。このあたりは奥様の性格や暴力のレベルにもよるので、なんとも言えません。ただ、ご自身の安全を一番に考えて欲しいな、と思います。

こうした状況で慰謝料の請求は、簡単ではありません。まずは弁護士さんにご相談されるのが一番だと思います。ちなみ夫が暴力をふるう前提で書きましたが、逆もたまにあります。

モラハラ

モラハラとはモラルハラスメントの略で、「精神的な暴力などによる嫌がらせ」です。相手を傷つける言動や行動を繰り返すことです。最近では妻から夫へのモラハラが増えています。モラハラの難しいところは「証拠が残りづらい」「どこからがモラハラか分かりにくい」「モラハラをする人は離婚に応じない」などがあります。

モラハラについて検索したとき「録音してください」というアドバイスが多いと思います。ただ、録音も意外と難しいんですよね…。また「バカと言われた」「無視された」がモラハラです、と書いているサイトもありますが、そんなの毎日だし!と思う方もいるでしょう。なにがモラハラかは非常に個人差があります。ただ最初から諦める必要はないので、まずは専門家に相談してみましょう。

一番の懸念はモラハラする人は離婚に応じない、マトモな話し合いができない、ことが多い点です。詳細は書かなくても、なんとなく想像できると思います…。男性でも女性でも大変です。

個人的には、できるだけモラハラの証拠や記録は残しておいた方が良いと思います。使うかは分かりませんが、あまりデメリットはないと思います。(ちなみに最近、夫が妻からのモラハラ日記をつけている、という奥様からの相談が増えています。ただの悪口の記録になっていて、より奥様が離婚したくなるので、書くなら絶対に見つからない場所や方法で残してくださいね…。)

借金・経済的DV

これもまた難しい内容です。「夫が給料を教えてくれない」「生活費を○円しかくれない」「勝手に借金をしてきた」「過去に自己破産や債務整理をしている」「子供の学資保険を解約して使いこんだ」「浪費されまくる」などです。非常に多いです。こうした相手は、そもそもお金がないので慰謝料が払えません。費用対効果を考えたとき、慰謝料はあきらめる方が多いと感じます。

その他

他にもたくさんの原因、相談があります。「子供への暴力」「子供にモラハラ」「姑からのモラハラ」「度重なる嘘」「夫の犯罪」「妻の親への暴言」「勝手に会社を辞めてきた」「妊娠したら堕ろせと脅されている」「同居を強制される」などなどです。こうした原因で離婚するとき、慰謝料が認められるかはケースによります。まずはご相談くださいね。

 

双方に原因がある場合は?

例えばモラハラなどは「お前が○○と言ったから、俺も○○と言ったんだ」のように、なにかしらお互い様だろ、というような話になりやすいです。当たり前ですが、炊飯器のスイッチを入れ忘れたからといって、殴っていい理由にはなりません。まったくお互い様ではないです。殴った方が圧倒的に悪いです。妻が男性とメールしたから、俺も風俗に行った、も同様です。一般的にメールだけでは不貞行為ではありませんが、風俗は不貞行為です。

こうしたケースは自分で考えてもあまり意味がないので、第三者に相談して、客観的な意見を聞いた方が良いでしょう。専門家に相談しましょう。

 

慰謝料は離婚後でも請求できる

ちなみに離婚の慰謝料は、離婚届を出したあとでも請求することができます。ただ時効があって、離婚届を出してから3年以内です。離婚したから払わない、もう終わったこと、というのは通用しません。

 

離婚の慰謝料のポイントは、どちらが「離婚したい」か

離婚の慰謝料のポイントは「どちらが強く離婚したいと考えているか」「離婚しないと困るのはどちらか」です。

仮に夫が浮気した場合でも、夫が離婚したくないのであれば「慰謝料を払います!」とは言いません。ご主人は離婚したくないので、自発的に慰謝料を払うメリットがないためです。逆に奥様の方が「じゃあ慰謝料はいらないから今すぐ離婚して」と考えるかもしれません。

モラハラなども同様で、基本的に、離婚したくない側は慰謝料を払うメリットがないのです。あるとすれば、訴えられたら費用がかかるとか、めんどくさい、くらいです。ただ正直、それは請求する側も同じです。

例えば、専業主婦の奥様が子供を連れて、近所の実家で暮らしている場合は、離婚は急がないかもしれません。養育費より婚姻費用の方が高いですし、年金や健康保険料も扶養内であれば負担はほぼありません。

逆に、奥様が子供を連れて、賃貸に引っ越した場合は大変かもしれません。離婚しないと、基本的に児童扶養手当が受け取れません。児童扶養手当(子供1人で最大4万3千円程度)がないと生活が苦しい場合、慰謝料のことで揉める時間がもったいないです。その他、夫婦で同居していて、一緒にいるのが苦痛で仕方ない、1日でも早く離婚したい、という場合も同様です。調停などが時間がかかるので、慰謝料はいらないから早く離婚して、と思う方もいます。

このように「離婚しないとどちらが困るか」によって大きく異なります。

 

慰謝料より、財産分与や養育費として払う

このページを読むと「なんとなく、慰謝料を請求するのは無理そうだな、面倒そうだな…」と考える方もいるかと思います。

個人的な意見ですが、慰謝料だけでなく、養育費や学資資金、財産分与などと包括的に考えることが重要だと思います。例えば、慰謝料○万円を払って、と言っても、自分だけが悪いわけじゃないのにおかしい!と言われてしまうかもしれません。しかし、慰謝料ではなく、子供のために養育費を5万円から6万円にしてください、大学進学費用を○万円ください、と言えば納得してくれるかもしれません。

男性はプライドが高いので、慰謝料という言葉を嫌います。しかし、子供のためのお金、と言えば、プライドの高い人ほど、払ってくれるかもしれません。子供の学資保険も、そのまま貰えるかもしれません。(通常は解約して返戻金を折半)

「離婚の慰謝料」ではなく、養育費や進学費用として金銭を受け取った方が、奥様にとっても、ご主人にとっても、平和的な結果になるかもしれません。

※ただデメリットとしては、養育費はあとで受け取れなくなる可能性があるので、慰謝料を先払いして貰った方が安心、というケースもあります。

 

扶養的財産分与とは?

扶養的財産分与とは、離婚後に専業主婦(主夫)などが生活に困ってしまうので、一定期間、援助するためのお金です。必ずしも認められるわけではありません。冒頭の「慰謝料○○万円を払うから離婚してもらえないでしょうか?」は慰謝料ではなく、扶養的財産分与として考えることもあります。

 

まとめ

離婚の慰謝料は非常に複雑です。単純に○○された、だけでなく、経済状況や今後の希望、費用対効果によって大きく異なります。

行動する前に、専門家に相談することがオススメです。お気軽にご相談くださいね。