札幌市のDVの相談先、お金の不安

DVは「殴る」「蹴る」のような肉体的な暴力だけでなく、「言葉の暴力」「生活費を渡さない」「性行為を強要」など、さまざまな暴力・暴行が該当します。札幌市などの調査によれば、被害は20代~40代の、子供がいる母親がもっとも相談が多いそうです。また、調査によれば、DVの相談件数は年々、増えています。別の調査では、夫からのなんらかのDVが、8割以上の家庭で見受けられたそうです。DVが悪化してしまう傾向として、誰にも相談しない・できないことが挙げられています。

これは、

・相談したことを夫(妻)に知られるのが怖い

・夫(妻)からの仕返しが怖い

・離婚したところで、収入面などが不安

・引越しや就職までの生活費が不安

・逃げる場所、引っ越すアテがない

などの理由があります。

ただ、これらは行政も理解していて、最近ではシェルターと呼ばれる一時的な避難施設が用意されています。また、就職支援や資金援助など、さまざまな取組みをしています。一度、相談してみるといいかもしれません。

 

札幌市などの相談先

札幌市 配偶者からのDV対策

※札幌市のHPです。まずは区役所で相談してみるといいかもしれません。

札幌法務局(女性の人権ホットライン)

※全国対応の無料の電話相談です。

北海道立女性相談援助センター

※こちらは北海道が主体の電話相談です。

札幌市男女共同参画センター

※DVだけでなく、仕事や子育ても含めて電話相談できます。

 

実際にどんな相談が多いか?

基本的には、まずは上記の相談先に相談することがオススメです。誰かに話を聞いて貰う、ということが大切です。

ただ、当事務所へのDV関係での相談で最も多いのが「公的な相談先に相談しても、話を聞いてくれるだけで何も解決はしなかった」という内容です。

この「解決」というのが難問です。ほとんどの場合「本当は離婚したいけれど、お金がないので離婚できない、我慢するしかない」という結果になってしまいます。実家に戻ることができない、子供が小さいので働くことができない、病気があって働くことができない、など、難しい事情や不安があります。また、公的機関に相談するのが不安、夫にバレるのが怖い、という理由から相談できない方もいます。

「離婚はしたくない。旦那の生活や態度を変えて欲しいだけ」という相談もありますが、ここでは割愛します。

 

DVの悩みはお金の悩み

DVのご相談は、お金の不安とセットのことがほとんどです。

例えば「旦那と離婚の話し合いがしたいけれど、怖くてできない。離婚に応じてくれない」という理由から離婚できないケースがあります。一般的なアドバイスは「弁護士さんに依頼してください」だと思います。弁護士さんに依頼してDVの証拠を集めて、別居して、裁判をすれば、ご主人が離婚したくないと言っても離婚が認められるかもしれません。

しかし、お金がかかります。弁護士費用はもちろんのこと、離婚が成立するまでに1年以上、かかるかもしれません。その間の生活費、住む場所が不安だと思います。離婚が成立しないと、児童扶養手当が受け取れないかもしれません。児童手当もご主人に振り込まれることが多いでしょう。離婚しないと公営住宅にも入りにくい可能性があります。保育園料もご主人の所得があれば高額になるかもしれません。小さな子供がいる場合、保育園が決まらないと働けない、働けないから保育園が決まらないかもしれません。すでに働いていたり、保育園や小学校に入っている場合、環境を変えたくない、と思うでしょう。ただ、そうすると夫の近くに住むことになります。

DVに悩んでいる女性で1年以上働かなくても暮らせる貯金がある、というケースはほぼありません。当事務所へのDVの相談のほとんどは「お金がないから離婚できない、DVから逃れられない」です。

※離婚しなくても児童扶養手当を受け取れるケースもありますが、なかなか大変みたいです

 

ひとつひとつ考えましょう

このように、分からないこと、不安なことがあると、あれもこれもダメ、と考えてしまいます。大切なことは、ひとつひとつ、別々に考えること、対策していくことです。

まずは住む場所です。とにかく安全に暮らせる場所を確保することが大切です。DV加害者と一緒に暮らしていると、正常に考えることもできなくなります。個人的な意見ですが、まずは仕事より住む場所が大切です。例えば実家が田舎で仕事がない、という場合でも、まずは実家で暮らせるならその方が良いかもしれません。

次が離婚届です。札幌市の場合、児童扶養手当も保育園も、離婚届を出しているかどうかで話がまったく違います。また、夫婦か他人かで、警察などの対応も違います。養育費は離婚後でも請求できるので、個人的には離婚届を出すことが最優先です。

次がお金です。仕事ではなく、お金です。生活に困窮している場合、無利子や低金利で行政からお金を借りることができます。お金は借りることができるので、まずは調べることが大切です。いきなりカードローンなどは絶対に避けましょう。離婚してしまえば「母子父子寡婦福祉資金貸付」などが利用できます。

最後が仕事です。安心して暮らせる場所や健康がないと、働くことは大変です。もちろん、仕事を見つけてから離婚することが出来るのであれば最善です。ただ、仕事が決まらないから離婚できない、と考えてしまうと、ずっと我慢することになる可能性があります。このあたりは柔軟に対応しても良いのではないでしょうか。

 

ただ、これらは健康で、働けることが前提の話となってしまいます。持病があるなどの事情で働けない場合、残念ながら上記は難しいでしょう。こうした場合、生活保護なども考えると思います。しかし、生活保護を受給することはそう簡単ではないそうです…。

 

一番は命と健康を守ること

色々と書きましたが、まずは命と健康を守ることが重要です。実際に残念なニュースが報じられることは珍しくありませんし、ニュースにならない自殺などはもっともっと多くあります。急かすわけではありませんが…。

お金は最悪、返せなかったら仕方ないと思います。破産しても命は取られませんし、差し押さえられる財産もないでしょう。

もし自分がそうした立場なら、とにかく離婚届を出して、行政から生活資金を借りて、そのあとで保育園や仕事を探すかな、と思います。生活資金(10万円)と児童扶養手当(4万円)と児童手当(1万円か1万5千円)があれば十分に暮らせると思うので。働きはじめたら、生活資金をゆっくり返せると思います。それか保育士の専門学校に通います。詳しくは(お金がなくて離婚できない母親のための制度まとめ)をご覧ください。

 

個人的に思うこと

上記はあくまで個人的な意見です。行政サービスなどを最大限に活用して、相談してみるのもオススメです。

ちなみに行政サービスってたくさん窓口がありますが、分かりにくいですよね…。積極的に書いてないし。そして「相談してください!」じゃなくて、相談してどんな結果になるのかとか書いて欲しいですよね。例えば、相談した結果、こんな感じで無事に離婚して幸せになりました、みたいに。特にお金や費用のことを。

あまり知られていませんが、行政からお金を借りるが可能です。お金と健康さえあればDVから逃れられる可能性が増えます。

当事務所では「子供の幸せを最優先に考える離婚」をテーマに離婚協議書(養育費の約束)などを作成しています。離婚協議書や公正証書は離婚後でも作成できます。書類を作成する際は、お気軽にご相談くださいね。