夫や妻の浮気が発覚したとき、配偶者に念書を書かせることがあります。目的は不貞行為(肉体関係)などがあった証拠を残すためであったり、二度と相手を不倫しないと約束させるためなどです。
念書の作り方や書き方をご紹介。行政書士札幌中央法務事務所では念書のサンプルは無料でお渡ししています。
夫や妻に書かせる念書のサンプル
まずは「配偶者に書かせる念書」のサンプルや書き方をご紹介します。
夫や妻に念書を書いてもらうことで、不貞行為の重要な証拠となります。基本的に、夫や妻がしっかり肉体関係を認めていれば、探偵などに依頼しなくても慰謝料請求が可能です。(相手が、夫や妻が既婚者だと知っていたなどの条件もあります)
タイトルは「謝罪文」にしてあります。「念書」にすると、どうしても「これを書いたら大変なことになりそう」と感じてしまいます。これに対して、「謝罪して欲しい」という感情は理解しやすいですよね。「謝罪のために書いてください」と説明も簡単です。
こちらはあくまでサンプルです。肉体関係が1回の場合、肉体関係がなかった場合、相手の氏名が分からない場合などは内容が違ってきます。
ポイントは4つ
浮気の念書のポイントは4つあります。
- 肉体関係の回数と時期を明確にすること
- 既婚者だと知っていたと明確にすること
- 相手の氏名と連絡手段を把握すること
- 二度と浮気しないと約束すること
です。
肉体関係の回数と時期を明確にすること
最も重要なことは「肉体関係があったこと」をはっきり書かせることです。「浮気しました」では、肉体関係があったのか不明瞭です。「ラブホテルに行きました」「旅館に泊まりました」も同様です。行っただけで何もしていない、と言われるかもしれません。
回数はとても重要です。このとき「覚えていない」という方も多いそうです。しかし、1回なのか10回なのか?と聞けば、「1回ではありません…。けど10回もないです」などと答えてくれるようです。4回から6回など幅があってもいいので、できるだけ回数は具体的にしましょう。時期も同じです。正確な年月日を覚えていなければ、季節であったり、年数だけでも書きましょう。
もし、回数が1回2回だけの場合、場所や状況も重要です。宿泊したのがラブホテルなのかビジネスホテルなのか。滞在時間はどのくらいなのか。あとから「ラブホテルに入ったけれど、なにもしなかった」と主張されるかもしれません。もし、本当に「ラブホテルに入ったけれど、なにもしなかった」という場合でも、ラブホテルに8時間も二人きりなら、その話はおかしいですよね。逆に20分で退室しているなら、本当かもしれません。
念書は、本人がどう言っているか、ではなくて、あとから客観的にどう理解されるか、が重要です。
例えば本人が「肉体関係はなかった」と主張しているときに、そのまま「肉体関係はなかった」と書くのか、「ラブホテルに10回行ったけれど、本人は肉体関係はなかったと言っている」と書くのでは、大きく違いますよね。
肉体関係がないときでも同じです。性行為をするつもりがなかったのか。キスやハグはしたのか。二人で会ったのは何回か。場所は?日時は?時間は?などです。例えば、「二人で会った」も、昼間にカフェで1時間なのか、深夜に車内で3時間なのか、によって違います。LINEでどうして生理の予定を教える必要があったのか。ゴム買ってきてはどういう商品か。相手の家で風呂に入る関係はどんな関係か。
あとから浮気相手に「合意の上ではなく、無理やりされた」と言われないためにも、回数が少ない場合などは前後の状況が重要です。(例えば、帰りに一緒に食事していれば、無理やりだったとは考えにくいですよね)
既婚者だと知っていたと明確にすること
慰謝料請求したときに、相手から「既婚者だと知らなかった」と言われない対策も重要です。そのためには「相手は僕が既婚者と知っていました」と書かせるだけでなく、いつ、どうやって知り合ったかが重要です。
例えば、会社が同じ場合など、既婚者だと知らないはずないですよね。本当に知らなかったとしても、簡単に知ることはできたはずです。「あえて結婚しているか聞かなかった」が通用するほど甘くありません。同様に、昔からの知り合いであったり、同じ学校であったり、知人からの紹介であったり、こうした場合は「既婚者だと知らなかった」は考えにくいですよね。
逆にSNSや出会い系アプリなどネットで知り合った、ナンパした、キャバクラなど夜の店で知り合ったなどは、「既婚者だと知らなかった」ということも考えられます。そうしたときは、LINEのやりとりで「今日は妻がいないから」なども重要になります。交際期間が長いのに相手(配偶者)の家に行ったことがないというのも、独身だと信じていたのであれば、おかしいですよね。ちなみに「婚活パーティーに夫が独身と偽って参加して知り合った」などは不倫ではなく、むしろ夫や妻が相手に貞操権の侵害で慰謝料を払うことになるかもしれません。
いつ知り合って、いつから肉体関係を持ったかも重要です。関係を持った期間が長いほど、既婚者だと知るチャンスは多いはずですよね。共通の知人がいるかなども重要になることもあります。
経緯の中に「既婚者だと伝えたこと」の具体的なエピソード、時期などを含めましょう。
相手の氏名と連絡手段を把握すること
慰謝料請求したり、浮気相手にも書類を書かせるためには、相手の氏名や住所が重要です。ただ、本人も相手の住所を知らないことの方が多いです。また、相手の本名が分からないことも多々あります。
詳しくは以下でご紹介しています。
簡単に書くと、住所が分からないと何もできない、というわけではないので、分かる範囲で書かせることが重要です。住所、氏名、電話番号、メールアドレス、勤務先のほかに、LINEのアカウントやSNSのアカウントなども考えられます。
二度と浮気しないと約束すること
浮気しないと約束させることも重要です。
どうして浮気相手に念書を書かせないの?
ここまで配偶者に書かせる念書についてご紹介しました。
そこで「浮気相手に書かせる念書は?」と考える方もいると思います。ただ、基本的に、浮気相手に念書を書かせることはオススメしていません。
理由は
- 書かない(サインしない)可能性が高い
- トラブルになる可能性がある
ためです。
浮気相手に念書を書かせる場合、相手に会う必要があります。(なかなか郵送で書いて、という方はいません) このため会ってくれるのか、会えるのか、が1つ目の難しさです。相手が会ってくれるとして、相手もインターネットで色々と調べています。そこには「絶対に書類にサインしてはダメ」「念書にサインする義務はない」と書かれています。「浮気 奥さんに呼び出された」で検索してみてください。
もし、相手が「念書にサインする義務はないのでサインしません」と言ってきたら、ムカつきませんか?「サインしないなら○〇します」と言いたくなってしまいます。しかし、それは以下のように、ご自身が不利になる可能性が出てきます。
- 相手が書きたくない(肉体関係はない)と言っているのに、無理やり書かせる(強要罪)
- 書かないと会社にバラすぞなど脅す(脅迫罪)
- 書かないなら今すぐ慰謝料を払えと脅す(もしかすると恐喝罪)
以上のことから、基本的には浮気相手に念書を書かせることはオススメできません。
ご主人や奥様が肉体関係を認めて念書を書いてくれれば、不倫相手の念書がなくても条件を満たせば不倫相手に慰謝料請求は可能です。もし、慰謝料請求しても肉体関係を認めないような不倫相手であれば、そもそも念書にもサインしないでしょう。
「二度と夫と連絡しない、不倫しない、約束を破った場合には違約金を払う」という約束は念書ではなく、慰謝料請求の示談書(和解書)などに記載しましょう。
慰謝料を請求しないで終わらせる方もいます。(慰謝料請求しない解決方法とは?浮気相手に念書を書かせる)
不倫の念書に関するQ&A
配偶者に不倫の念書を書いてもらうときの疑問をまとめました。
念書を用意するタイミングは?
「夫と話し合いをする前に念書を用意した方がいいですか?」と聞かれることがあります。個人的には、どちらでもいいと思います。あまり用意周到に準備してしまうと、旦那様が必要以上に警戒するかもしれません。念書にサインする人は後日でもサインしますし、サインしない人はどのタイミングでもサインしません。まずは話し合って、ご主人が口頭で認めたら、これにも書いて…くらいでいいと思います。
夫や妻が相手の住所を知らない場合は?
少し書きましたが、夫が不倫相手の住所を知らないことは多々あります。部屋番号だけ分からないこともあります。住所が分からなくても慰謝料請求できないとは限りません。分かる範囲で書いてもらいましょう。
誓約書との違いは?
念書、誓約書、謝罪文など、あまりタイトルに意味はありません。内容が同じであれば、同じです。
肉体関係がなかった場合は?
肉体関係を認めない(肉体関係はなかった)という場合でも、念書を書かせることは非常に重要です。前述の通り、性行為がなくても、他になにがあったか次第で、慰謝料が受け取れることもあります。
例えば、探偵に依頼して調査をしても、ラブホテルなどに出入りする写真や動画を撮ることしかできません。部屋の中で何をしているかまでは撮影できません。しかし、探偵に依頼してこうした証拠を得ることで、裁判などでも不貞行為と慰謝料の支払義務が認められます。本人が「ラブホテルに行ったけれど、なにもしていない」と言ってもです。
このため、夫や妻が「肉体関係はなかった」と言っている場合でも、具体的な事実をできるだけ多く書いておくことをオススメします。
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※ 相手の住所が分からなくても相談OKです
※ 探偵に依頼して得た証拠などがなくても、配偶者が肉体関係を認めていれば請求できます