離婚で夫名義の家に住むと児童扶養手当が貰えない?

『元旦那名義のマイホームに住み続け、住宅ローンは元旦那が支払う条件で離婚しました。そして先日、区役所に児童扶養手当の申請に行くと、元夫から扶養を受けていることを理由に、児童扶養手当が支給できない可能性があると言われてしまいました…。』

 

児童扶養手当の申請時、家の名義を確認されます

札幌市の場合、児童扶養手当を申請するときに、家の名義を確認され、賃貸の場合は賃貸借契約書などが必要となります。これは、偽装離婚による不正受給を防止するためです。夫と暮らしているのに、離婚届だけ出して手当を貰おう、ということを防ぐためです。元夫名義の家に住み続ける場合も同様です。

 

児童扶養手当の金額は?

まずは児童扶養手当の金額について、簡単にご説明します。子供がひとりの場合、最大で月に約4万2千円くらいが支給されます。

この金額は、母親の所得+色々で決まります。母親の所得が高くなるほど、児童扶養手当は減額、もしくはゼロになります。そして、この計算では働いて稼いだ給料などに加えて、元夫からの養育費の8割が計算に含まれる、というのがポイントです。

児童扶養手当の詳しい説明は【児童扶養手当で知っておくべきこと

 

児童扶養手当での養育費とは?

この養育費について、札幌市のホームページには詳しく書かれていません。ネット検索して、たまたまヒットした千葉県市川市のホームページにはこう書かれています。2019年7月時点。

別れた父又は母からの養育費は、児童の養育のために支払われるものであり、児童扶養手当とその目的が一部重なっています。このため、別れた父又は母から受け取った養育費の8割相当額を、所得制限を行う際に加算する形で調整しております。

養育費とは、次の要件にすべて当てはまるものをいいます。(中略)

養育費、仕送り、生活費、自宅などローンの肩代わり家賃、光熱費、教育費など児童の養育に関係のある経費として支払われていること

引用元:千葉県市川市

※公正証書の養育費と児童扶養手当に関する養育費も一緒、と間違えているサイトもあるので注意が必要です

 

元夫からの扶養とは

例えば、元夫から養育費として月に50万円をもらっているとしたら、お金に困っていないので、児童扶養手当は支給しませんよ、という趣旨は理解しやすいと思います。

では、これが養育費の代わりに家賃相場10万円の家に無償で住まわせている、という場合はどうなるでしょうか?

元夫が家賃(ローン)を支払っているのだから、その分の扶養を受けている、養育費に含まれる、と考えられる可能性があります。この場合、受給される児童扶養手当が減額される可能性があります(もしくは受け取れません)

ただ、夫名義の家に住む=児童扶養手当に影響が必ず出る、というわけではありません。まずはお住まいの市区町村役場にご相談されることをオススメします。

 

元夫と賃貸契約を交わせばOK!?

では、『この家を月千円で元夫から借り受けているだけです。月千円で家を借りている証拠として、不動産賃貸契約書があります!』という主張は通るでしょうか??

おそらく、制度の趣旨から考えて、かなり難しいでしょう。ちなみにローンの毎月の支払額=毎月の扶養されている金額、ではありません。ローンの毎月の支払金額は、自分たちで決められる金額であるためです。近隣の家賃相場等から、もしくは母子世帯の平均的な家賃相場から計算される可能性が高いと思います。

 

慰謝料の代わりに住み続ける場合は!?

『慰謝料は払えないけど、この家に住み続けていい。ローンは俺が払うから…』という場合、どうでしょう?

実は、児童扶養手当を算定するときの所得に、慰謝料は含まれません

したがって、次のようなものは養育費に含まれません。(中略)

5.慰謝料、財産分与として支払われる場合

引用元:市川市ホームページ

このため、家賃分は慰謝料の支払い分と相殺しています!という主張は、もしかしたら、通るかもしれません。ただし、家賃が10万円の場合、年間120万円です。仮に10年続けるとすれば、1200万円です。慰謝料の相場としては現実的でないと判断される気がします。

 

ポイントは財産分与

ご主人名義の家に住み続けて、できるだけ児童扶養手当を受け取りたい場合、最も確実な方法は、財産分与として考える、ことだと思います。

家の名義がご主人であっても、結婚後に取得した家の場合、それは共有の財産ですので、奥さまの財産でもあります。そこで、数年後にその権利をご主人に譲渡する代わりに、それまで、奥さんと子供が住み続ける、というような内容の離婚協議書になっていれば、扶養ではなく、財産分与の一部なので、児童扶養手当には関係ない、とされたケースもあります。

例えば、3千万円の家を買って、その家はいま2千万円で売れるとします。ローンはありません。普通に売却して財産分与をすれば、お互いに1千万円の現金が貰えるはずです。妻がその家に15年間、住んで、その代わり15年後に家の権利をすべて放棄、元夫に渡すという財産分与の方法をとった場合、養育費ではありませんよね。ちなみにローンがあっても同じです。

実際に、こうした主張が認められたケースもあります。ただ、すべてのケースが必ず認められる話ではないので、詳しい専門家に相談し、適切な離婚協議書を作成することをオススメします。

ちなみに、離婚後でも離婚協議書は作成できます。もし、離婚後にこうした理由で児童扶養手当が支給されない場合は、新たに離婚協議書を作成してみてはいかがでしょうか。

 

同居していると誤解されるケース

ちょっと話を変えます。札幌市のホームページによれば、「受給者である母又は父が婚姻したとき(事実上の婚姻関係を含む)」には手当を受ける資格がなくなります。

離婚届を出しても、元夫と一緒に住んでいる場合は基本的に児童扶養手当を受け取れません。夫名義の家に住み続ける場合、「本当はまだ夫と住んでいるんじゃないの?」と思われる可能性が高くなります。

もし、夫名義の家に住むことで児童扶養手当が貰えないかも、と言われたときは、「事実婚状態だからダメ」なのか「家賃分の扶養をカウントされ所得制限を超えたからダメ」なのか、ハッキリ確認した方が良いかもしれません。

 

誤解されないように…

過去にあったケースをご紹介します。

養育費が4万円、毎月の住宅ローンの支払いが6万円。夫名義の家に妻と子供が住む。このとき、奥様は夫が本当に毎月銀行にローンを返済しているか不安なので、一度、元夫から自分に10万円を振り込んでもらい、自分で銀行に毎月6万円を振り込みたい、ということがありました。

気持ちはわかります。確かに、本当にちゃんと元夫がローンを支払わないと、奥様と子供が困りますもんね。

でも、これは危険です。役所からみたら、養育費を10万円受け取っているようにしか思えないからです。10万円全額が養育費として計算されて、児童扶養手当が減額されてしまう可能性があります。

 

持ち家でも金額は一緒…

ちなみに、奥様名義のローンなしマイホームに住んでいても、賃貸アパートに住んでいても、児童扶養手当の金額は一緒です。ちょっと不思議ですよね…。

だったら、住宅ローンを元夫が払っている家に住んでも同じでいいじゃん、と思いますよね。なんなら、賃貸アパートの家賃を父親が払ってもいいじゃん、と個人的には思います。

 

アドバイス

余談ですが、児童扶養手当は全国どこでも同じルールで支給されるはずです。ただ、実際には、市町村で考え方が違っていたり、同じ市でも役所で違う回答をされることがあります。当事務所で実際にあったケースでは、区役所に相談して児童扶養手当が貰えると言われたのに、別の日に同じ区役所で別の職員さんに聞いたら、貰えないと言われたこともありました。

もちろん、どう聞いたか、ちゃんと同じ条件を伝えたか、などにもよるので、一概に役所・職員が間違っているとは言いません。ただ、職員さんも人間なので、解釈が個人で違っていたり、勘違いすることもあります。

インターネット上では様々な情報(私は貰えた、私は貰えなかった等)がありますが、1つの情報だけを信じ過ぎず、近くの適切な専門家に相談したり、役所に何度か相談してみるなどが大切です。こうした細かなことも含めて、離婚協議書や公正証書の案を作成することが大切です。

 

離婚しても持ち家に住み続けた方がお得】に戻る