兄弟姉妹の親権を分けることはオススメしない

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ドラマなどで、「幼いことに両親が離婚し、実は生き別れの妹がいた…!」というような設定がありますが、実のところ、このようなケースは少ないようです。理由は、幼少期の兄弟姉妹は、一緒に暮らした方が環境がよい、とされているから(兄弟姉妹の不分離の原則)で、調停や裁判になった場合には、どちらか一方に親権をまとめて委ねることを推奨されるようです。

もちろん、これは調停や裁判になった場合に、そう推奨されるだけであって、協議離婚で親権・養育権を決める場合、本人が自由に決められます。

 

兄弟姉妹の親権を別々にするデメリット

例えば、息子の親権は父親、娘の親権は母親、ということは可能です。しかし、その場合、どうしても経済面や愛情面で、兄弟姉妹間に差が生まれることも珍しくありません。

特に、いまは良くても、将来的な心配があります。それは再婚する場合です。例えば、父親が再婚し、素敵な新しい母親と暮らすことになった場合、息子だけ裕福で、生活面でも困らないことになるかもしれません。そのとき、どうしても不公平感が生まれてしまいます。

他にも、実家の経済力、転勤の有無など、どうしても環境に違いが出てくることがあります。その際、比べてしまう可能性があることは、子供によいとは考えられていません。

 

年齢と性別が重要

ただ、お子様の年齢にもよると思います。中学生以上であれば、男の子と女の子では、特に考え方が異なります。

例えば、男子高校生の場合、いまから引っ越して、母親と二人でワンルームのアパートに住むのは…というケースもありました。経済力のある父親と住んで、自分のひとり部屋が欲しいそうです。

このように、年齢や性別によると思います。逆に、3歳の男の子の双子を、それぞれで、というのはとても心配です。

 

本当に親権が必要か

こうした際は、まず、どうして親権を分けたいのか、親権が欲しいのか、という点を改めてよく考えてください。

経験的に多いのは、男の子は○○家の跡取りだから、親権を父親に、という相談です。ある意味、女の子はいらない、という趣旨です。

はっきり言って、そんな理由、そんな考えの父親に親権を渡したくありませんよね。男の子でも女の子でも、大切な子供です。また、子供には自分の人生を生きる権利があって、家や先祖のためだけに生きているわけではありません。親権は子どもの幸せを考えて決める、という当たり前のことから逸脱している時点で、親としてどうなのか、と感じてしまいます。

さて、私が文句を言っても意味はありません。では、どうしたら良いか、ということです。

まず理解して欲しいのは『親権がない=跡取りではない、というものではない』ということです。親権は、車の所有権や車検証ではありません。

親権が父親であれ、母親であれ、そのお子様が大切な子供、孫、であることに変わりはありません。相続する権利もあります。特に、離婚時に名字を変更しない場合、男の子であればおそらく生涯、父親と同じ名字を名乗ることでしょう。もし、名字を母方に変えたとしても、その子供が20歳になるときに、自分の意思で父親の名字を名乗ることもできます。

父方の跡取りとは、名を残すこと、墓を守ることだと思います。それは、子どもの親権者が母親であっても、きっと可能です。大切なことは、父親や父方の祖父母が、どれだけ子供を大切に想っていて、先祖を大事にして欲しいと伝えるかです。むしろ、親権で争い、母親を苦しめるような人が信頼されるでしょうか。

親権者は母親でなくてはいけない、兄弟姉妹の親権は分けてはダメ、ということではありません。さまざまな事情があります。家や墓を守りたい、大事な大事な跡取り息子、という気持ちも理解できます。

ただ、親権だけですべてが決まるわけではない、ということを知って欲しいのです。例えば、親権が母親でも、夏休みと正月には父親の実家で暮らす、と離婚協議書で約束したケースもありました。

どうか、視野を広げて考えてみてください。

 

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