示談書(和解書)や誓約書などで、口外しない、させないと約束することがあります。
口外禁止の例文はこちら
1,甲(及び乙)は、○○に関する内容を一切、口外しない。
2,前項に違反した場合、(互いに)違約金として金○万円を一括で相手方に支払う。
口外禁止条項とは?
書類(和解書、示談書、合意書、誓約書など)の口外禁止条項とは、互いに、もしくは一方が、友人や会社などを含めて、○○の事実を誰にも言わない、という約束です。
口外禁止条項の目的は?
例えば、不倫された奥様の立場であれば、夫の仕事への影響や子供への影響を考え、職場などに言いふらさないことを求めることがあります。不倫してしまった側の立場であれば、慰謝料を払う代わりに絶対に口外してしないで欲しいということが多いです。
それ以外にも、不都合な事実を会社や学校に対して口外しない、インターネット上に書き込みしない、などもあります。
口外禁止の範囲
範囲、対象としては、言葉以外にも手紙、メールやLINE、FacebookやTwitter、InstagramなどSNSへの書き込み、掲示板への書き込み、ももちろんダメ。口で言ってない!書いただけ!などは通用しません。不安な場合、具体的に、これらに書き込みを行わないと記載します。
口外禁止の例外は?
守秘義務がある相手
一般的に、弁護士や行政書士、警察官、心療内科などの医師やカウンセラーなど、守秘義務のある職業の人に対して、相手の業務として話すことは問題ないようです。ただ、そうした職業の相手に話す場合であっても、プライベートとして話す場合は注意が必要でしょう。
親などの近いひと
不倫の悩みをひとりで抱えることは、非常に危険です。自分や配偶者の親に不倫された悩みを話すことも、基本的には大丈夫だと思います。ただ、不倫相手を特定できる情報(氏名や職場など)は伝える必要がないので、言わない方が無難でしょう。また、誰にも言わないよう約束してもらった上で話すのも良いでしょう。
特に気になる相手は記載する
特に口外しないで欲しい相手のことは、具体的に記載した方が安心です。例えば、過去に、会社の上司や同僚に口外しない、子供の保護者や学校関係者、コーチなどに口外しない、両者が参加している社会人サークルにメンバーに口外しない、いきつけの居酒屋の店員に口外しない、などと書いたことがあります。
口外禁止は拒否できる?
口外禁止条項に関わらず、契約書はお互いの合意があって作るものなので、どちら側も拒否はできます。ただ、口外禁止を書かないなら和解しません、などと言われる可能性も当然あります。立場をよく考えて対応しましょう。また、口外禁止の項目を拒否するということは、言いふらすつもりなのか!と誤解を与えることが多いです。拒否するのではなく、こういう心配があるので、こう書き方を変えて欲しい、と提案した方が無難です。もしくは、ご自身側で作成することも良いでしょう。
違約金は書けるが…
例文のように、口外したら違約金として金○万円を相手に払う、と書くことも可能です。ただ、これは立場によります。不倫した側が、不倫された側に違約金の項目を求めても、「は?そもそも不倫した方が悪いんでしょ?言いふらさないってのが信用できないの?あなたと違って私はあなたに迷惑をかけた覚えはないけれど」と、不快感を与えてしまう可能性があります。
口外禁止条項を書いていないとどうなるか?
そもそも、口外禁止と書いていなくても、不倫の事実などをたくさんの人に広めることは許されることではありません。名誉毀損やプライバシーの侵害として、損害賠償請求ができる可能性があります。
逆に言うと、正当な理由、正当な方法で口外された場合、損害賠償の請求は難しくなるそうです。こうしたことに備えて、違約金付きの口外禁止を記載することに一定の意味はあります。
口外禁止条項の難しさ
さて、ここまでは口外禁止の一般的なことを書きました。ここからは、実務的なことと、限界についてご紹介します。
契約書はサインしたときから効力が発生する
どんな契約書(和解書、示談書、合意書、誓約書など)も、サインしたときから効力が発生します。つまり、サインする前に第三者に話していた場合、その契約書自体には影響しません。(前述の通り、名誉棄損やプライバシーの侵害には関係しますが)
嫌な言い方をすると、仮にサインしたあとに第三者に話したとしても、「書類にサインする前にその人に口外してました」と嘘をつかれると、その時期を証明することは非常に困難です。
あくまで二人の契約である
和解書や示談書などで「口外しない」と書いても、それはあくまで、当事者二人(もしくは一人)にしか影響しません。つまり、「私は話していないけれど、サインする前に話した第三者が、どんどん他の人に話してしまったみたいです。文句があるなら、その人に言ってください」と言われてしまうと、違約金は請求できないかもしれません。違約金はあくまで、サインした人にのみ影響します。
口外した、の証拠を得るのはかなり困難
不倫の事実を知っていないはずの人(会社の上司など)が不倫を知っている!と判明しても、相手方が口外したかどうかは分かりません。「私は誰にも言ってません。あなたのご主人が言ったんじゃないですか?私が口外した証拠はあるんですか?」と言われてしまうかもしれません。
そもそも、職場不倫などは、当事者が話していないくても、周囲にバレていることは多々あります。(バレていないと思っているのは本人たちだけです)
ここまで書いた通り、いつ、誰が、どのように口外したかの確実な証拠を得ることは、かなり困難です。証拠がないと請求できないため、実際に口外禁止条項の違約金を請求することも、非常に難しいです。
極端に言えば、「◯さんと◯さんは不倫しています」という匿名のビラをまかれたとして、そのビラをまいた犯人がわからなければ、どうしようもないのです。このため、口外禁止条項はあくまで様式美というか、効果は限定的、と考えている専門家も多いと思います。
違約金には上限がある
ちなみに、違約金100万円などは高すぎるので、有効かは微妙なところです。違反1回につき10万円と書いて、100回違反したから1千万円、も無理でしょう。現実的な上限は数十万円だそうです。
違約金の請求にもお金がかかる
これは口外禁止だけではありませんが、違約金の請求のために弁護士さんなどの専門家に依頼する場合、費用がかかります。証拠の有効性など総合的なことを考えて、費用対効果的は難しいところです。
違約金がもらえるだけ
また、逆に考えると、口外されても違約金が受け取れるだけです。(名誉毀損などの犯罪は別として) 違約金を受け取っても、謝罪されても、不倫などを知ってしまった人の記憶が消えるわけではありません。
悩んだときは、こちら側で作る
色々と書きましたが、抑止力として、安心材料として、それでも口外禁止条項のある書類を作成したい、という方は多くいます。
口外禁止のことで悩んだときは、基本的にご自身が書類作成を専門家に依頼して作成されることをオススメします。理由は、いちいち、相手方にこういう内容を増やせ!と指示するのは大変だからです。不快感を与え、拒否されるかもしれません。最初からこちら側で書類作成すれば、そうしたリスクは減ります。たくさんの項目の中で、口外禁止にだけ、ここまで深く考えて指摘してくる人は多くないかと思います。当事務所でも作成していますし、お近くの専門家に依頼しても良いと思います。
なお、当事務所であれば、口外しないだけでなく、
・口外禁止の書類にサインするまでに第三者に口外していない確認、もしくは口外している場合の確認の項目
・すでに口外してしまった第三者に対しても、さらなる口外禁止を求めるなどの対策
・SNS、インターネット上も含めて書き込みを行わないなど
・連絡先、メールやLINEの履歴、写真などを破棄するなど
の条項も記載できます。
※状況によってはお断りさせて頂くことがあります。予めご了承ください。
※100%すべて解決する、という内容ではありません。
不倫以外の口外禁止の書類も作成できます
当事務所では「口外禁止の条項を含む書類」を3万3千円(税込み)で作成しています。面談は不要で、全国、どこからでもご依頼いただけます。LINEやメールで24時間、受け付けています。
不倫などの異性関係についてが多いですが、過去にさまざまなケースで書類を作成しています。
・従業員や部下へのセクハラ、パワハラなどの行為を会社に口外しない(和解書)
・不倫した本人に対し、不倫の事実を言いふらさない(経営者や自営業、地位が高い人など)
・中絶などに関することを口外しない
・既婚者が独身と偽って交際したときの示談書
・不同意性交の可能性があるときの示談書(酔っていたなど)
・子供の同士のトラブルを解決したときの和解書
※ 相手方の氏名や住所などは必要ありません。教えて頂かなくて大丈夫です。
※ 円満な状況でない場合などは依頼をお断りすることがあります。法律上、行政書士では受任できないケースがあります。行政書士は交渉の助言はできません。お近くの弁護士さんにご相談ください。
口外禁止以外に、似たような項目
口外禁止は、「第三者に言いふらさない」という約束です。
その他にも「不倫した二人が二度と連絡や面会をしない」という接触禁止の項目もあります。
「和解する当事者間で、この書類に違反しない限り、もう連絡してこないで!」という項目もあります。(特に不倫した側が、慰謝料を支払う代わりに、二度と連絡してこないで、という要望です)
こうしたことも含めて、ご相談いただければと思います。
和解書(示談書、誓約書)の作成費用は3万3千円(税込み)です。詳しくは「二度と不倫させないための示談書とは?」をご覧ください。
※ あくまで一般的な話なので、個別では事情が異なります。責任は負えないので、書類作成などは適正な専門家に相談しましょう。すでにトラブルが発生している場合には、弁護士さんにご相談ください。