離婚後の面会交流と子供の気持ち。難しく、切ない。

離婚と貧困

離婚しても、離れて暮らす親が子供と面会する権利はあります。ただ、実際は権利義務ではなく、子供が父親に会いたいか、会ってどんな気持ちになるかが面会を大きく左右します。ここでは少し、子供と面会に関するエピソードをご紹介します。

 

『父親に会いたくない理由』

母親からの相談です。

ある面会後、3歳の子供が『もうお父さんと会いたくない』と母親に言ったそうです。母親としては、なにか不愉快なことを言われたのかと心配し、子供になぜ会いたくないのかを聞きました。すると『会ったら、バイバイしないといけない。バイバイするのが寂しいから』と子供が答えたそうです。

5歳の子供が「お父さんと会いたくない、お母さんが悲しそうだから」と答えた、ということもありました。

父親と離れて暮らすことになった子供に対して、母親はどうするべきでしょう? 子供が「会いたくない」と言っているので、会わせない方がよいのでしょうか…?

 

『子供の嘘』

ある面会の数日後、元夫から電話があり、『やり直したいって本気なのかい?』と言われました。私はなんのことか、さっぱり分からず、どういうことか聞いてみると、娘が面会のとき、『ママね、またパパと暮らしたいって!私からパパにお願いしてって頼まれたの!』と言ったそうなのです。もちろん、私は娘に、そんなことは言っていません。ただ、思い返してみると、娘は最近、どこかウキウキしていて、私に『何かいいことなかった?』と何度も聞いていました。きっと、娘は娘なりに考えて、キューピッド役にでもなったつもりなのでしょう。また3人で暮らせると楽しみにしているのでしょう。私は母親なのに娘が一番望むことをしてあげられません。私は娘になんて答えたらいいのでしょうか…。

 

面会交流は本当に難しい…

これらはフィクションです。

ただ、面会交流は本当に難しいことだな、と日々感じています。子供の立場でいえば、「お父さんが好きだから会うのが辛い」「お母さんが好きだからお父さんと会ってはいけないと思った」ということがあります。母親の立場でいえば、「面会すると子供がお父さんとまた一緒に暮らしたいと不安定になるので、もう会わせない方がいいのではないか」「子供がお父さんに会いたいと言っているか、元夫はそれほど積極的ではない場合はどうすればいいか」などがあります。

子供はお父さんが大好きなのに、そのお父さんから傷つけたエピソードを聞くのが本当に辛いです…。

 

離婚後に子供と面会したことがない割合は、45.3%

さて、具体的な数字から考察してみましょう。

令和3年度全国ひとり親世帯等調査「親子交流(面会交流)の実施状況」によれば、離婚後【子供と面会交流をしたことがないという割合は45.3%でした。そもそも、半数近くの親は離婚後に子供と一度も面会交流していないのです。(現在も面会交流をしている30%、過去に面会交流をしたことがある20%)

また、調査によれば、母子世帯で現在、面会交流を実施していない最も大きな理由として、多い方から順に

・相手が面会交流を求めてこない(28.5%)

・子供が会いたがらない(16.1%)

・相手が養育費を払わない(8.6%)

・面会交流によって子供が精神的または肉体的に不安定になる(4.0%)

・相手に暴力などの問題行動がある(3.3%)

・相手が結婚した(2.9%)

・相手が面会の約束を守らない(2.5%)

となっています。(その他(16.0%)、不詳(15.9%)を除く)

子供の気持ち以前に、そもそも父親が子どもとの面会を求めていないケースが多い、ということが分かります。

父親側に理由があるとされている項目(青字)の合計は45.8%です。その他と不詳を除き、理由を答えている中での割合に換算すると、約67%になります。面会交流をしていない母親のうち、3人に2人は父親に理由があると考えているようです。

総合的に考えると、面会交流を続けることは難しい、そして、その原因は父親側にあると思っている母親が多い、ということが推察できるかと思います。(父親が悪い、という意味ではありません)

 

面会交流でお願いしたいこと

ここからは当事務所の考えです。

お父さんの考えやポリシーより、子供の気持ちを優先して欲しい

面会を希望していない父親に話を聞くと、「早く俺のことを忘れた方がいいと思うので、面会はしない方がいい」「面会すると別れ際に帰りたくないと子供が泣いてしまうので、子供が可哀想だ」という2点が多いです。共通することは、「子供のため」と言っていることです。この考えを否定するつもりはありません。ただ、お父さんがどう考えていようと、子供の「会いたい」という気持ちを優先して欲しいな、と思います。面会交流の別れ際に泣いてしまう子供も、帰ったら意外とケロっと元気にご飯を食べていたりします。父親を忘れるべきかは、そう簡単な話ではありません。もし本当に子供のことを考えての発言であれば、ぜひ、面会するかはお子様と母親に任せてください。子供が面会を望んでいるのであれば、基本的には積極的に自分から面会された方が良いと感じます。(もちろん、子供が嫌いだとか、めんどくさいという場合は無理に会わなくてもいいと思います)

お父さんの考えは、お母さんに伝えて欲しい

そして、もし、それでも面会をしたくないのであれば、それは子供にではなく、お母さんに伝えてください。いきなり子供に「お父さんは再婚するからお前とはもう会えない」と伝えてしまうのは好ましくありません。また「お母さんに○○するなら会うなと言われたからもうお前とは会えない」など、母親のせいにする場合も、それが事実だとしても子供に伝えるべきではないと思います。全般的に、子供と面会したくない場合は、理由やポリシーがなんにせよ、子供に直接ではなく、母親に伝えて欲しいなと思います。

お母さんも時に嘘をついて欲しい

これはお母さんも同様です。仮に父親が養育費を払ってくれないから面会させたくない場合でも、それを直接、子供に説明するのは好ましくないと思います。

 

大切なことは二つ

あくまで当事務所の考えですが、離婚後の面会交流で大切なことは「面会でトラブルを起こさないように事前に準備すること」と「お子様任せにしないこと」の2つだと思います。

面会でトラブルを起こさないように事前に準備すること

一度、面会交流で嫌なことがあると、それ以降の面会がとても難しくなります。お互いに嫌な気持ちになります。トラブルが起こらないように事前に対策しておくことが大切です。特に、トラブルは子供が好きな父親ほど多いと感じます。愛情あトラブルの原因となることがあります。

・勝手に高額なプレゼントを渡した

・子供に近況や不満、母親の暮らしを過剰に質問する

・遠方の祖父母に会わせたいから年末年始は実家に連れていきたい

などです。ネットのサンプルにあるように「月に1回、何時から何時まで会わせる」だけでは、こうしたトラブルは防げません。当事務所の作成する離婚協議書には入学式などのイベントに参加しても良いか、親族や親族以外に会わせていいか、プレゼントを自由に渡していいか、などが書かれています。面会中に詮索しない、母親の近況を聞かない、親権を父親にするよう説得しない、なども書かれています。

子供任せにしないこと、思考停止しないこと

このページを読んでいる方は、離婚後のお子様と父親の面会について気になることがある母親が多いと思います。

あくまで当事務所の考えですが、やはり母親が責任を持って決めることが大切だと思います。子供が小学生以下の場合、大人と違って冷静な判断ができません。子供は、大人が想像できない理由で嘘をつきます。子供の発言が、すべて子供の本心とは限りません。面会交流についても、小学生以下の子供に任せることはできません。子供がどうして会いたくないと言っているかは、子供の言葉だけでは理解できないことがあります。将来、「8歳のあなたが父親に会いたくないと言ったから面会しなくなったのよ。自己責任よ」というのは、あまりに酷です。

子供が父親と会いたくないと言っていても、面会するかどうかを決めるのは母親の役割だと思います。逆に子供が父親に会いたいと言っている場合でも、母親が会わせない方が良い、と判断することもあるでしょう。

もし悩んだときは、専門家に相談することもオススメです。

例えば面会交流は「会う」だけではありません。テレビ電話をする、動画を送るなど、さまざまな方法があります。例えば父親に原因があって面会が不安なのであれば、父親に子供への動画を送ってもらう、ということがありました。動画であれば事前に母親が確認できるので、不適切な言動があって子供に見せられない、などが判断できます。母親や誰かが面会に同席する、いまはダメでも将来は宿泊の面会を許可するなど、タイミングもあるかもしれません。

面会する、しない、だけではなく、他の方法なども考えることが大切です。

 

面会を阻止するための依頼は受けられません

先日、弁護士さんが「親と子供の面会を阻止するための依頼」を受ける是非が話題になっていました。当事務所では「子供と父親を会わせない」という離婚協議書や公正証書案は作成できません。そもそも公証人が書いてくれないことが多いです。

もちろん、離婚原因がDV、中学生以上のお子様が面会を希望していない、そもそも父親が面会を希望していない、という場合に面会について書かないことは珍しくありません。ただ、「子供を父親を会わせない」と書くことはできません。お子様の権利を侵害してしまうためです。

どんな理由があっても、母親が我慢して父親の要求通りに父親と子供を会わせろ、ということではありません。面会させない方が良いと思うケースもあります。大切なことは、面会は事情によるのでそう簡単な話ではない、ということです。