離婚後の面会交流と子供の気持ち。難しく、切ない。

離婚と貧困

離婚しても、離れて暮らす親が子供と面会する権利はあります。ただ、実際は権利義務ではなく、子供が父親に会いたいか、会ってどんな気持ちになるかが面会を大きく左右します。ここでは少し、子供と面会に関するエピソードをご紹介します。

 

『父親に会いたくない理由』

母親からの相談です。面会は本来、子供の気持ちを最優先で考えますので、子供が望んでいない場合は面会を拒否する場合があります。

ある面会後、3歳の子供が『もうお父さんと会いたくない』と母親に言ったそうです。母親としては、なにか不愉快なことを言われたのかと心配し、子供になぜ会いたくないのかを聞きました。すると『会ったら、バイバイしないといけない。バイバイするのが寂しいから』と子供が答えたそうです。大好きな父親と離れて暮らすことになった子供に対して、親はどうするべきなのでしょう?会わせないことで忘れさせた方がいいのでしょうか…?

 

『子供の嘘』

母親からの相談です。

ある面会の数日後、元夫から電話があり、『やり直したいって本気なのかい?』と言われました。私はなんのことか、さっぱり分からず、どういうことか聞いてみると、娘が面会のとき、『ママね、またパパと暮らしたいって!私からパパにお願いしてって頼まれたの!』と言ったそうなのです。もちろん、私は娘に、そんなことは言っていません。ただ、思い返してみると、娘は最近、どこかウキウキしていて、私に『何かいいことなかった?』と何度も聞いていました。きっと、娘は娘なりに考えて、キューピッド役にでもなったつもりなのでしょう。また3人で暮らせると楽しみにしているのでしょう。私は母親なのに娘が一番望むことをしてあげられません。私は娘になんて答えたらいいのでしょうか…。

 

年齢、離婚理由、さまざまな要因によります

これらはフィクションです。

離婚理由が父親のDVであるとか、過去の面会で父親が不適切な行動(不倫相手に会わせた、パチンコに連れて行った、祖父母に任せて自分は不在などは実際にあります)をとったなどの理由によって母親が会わせたくない、という相談もあります。逆に、子供が中学生などで、本人が会いたくない、親は会って欲しいというケースもあります。

 

離婚後に子供と面会したことがない割合は、50.8%

平成23年度全国母子世帯等調査によれば、離婚後【子供と面会交流をしたことがない】という割合は50.8%でした。半数以上の親が離婚後に子供と面会交流していないのです。もちろん、理由はさまざまだと思います。子供のために面会していないのかもしれません。

 

大切なことは二つ

あくまで個人的な考えですが、離婚後の面会交流で大切なことは「面会でトラブルを起こさないように事前に準備すること」と「お子様任せにしないこと」の2つだと思います。

面会でトラブルを起こさないように事前に準備すること

前述の通り、面会で父親が不倫相手に会わせた、祖父母任せにして自分は不在だったという相談がありました。実際に多いのは「面会しても子供が気を使うだけで楽しそうではない」「父親を怖がっていて会いたくないと言っている」「父親が面会に積極的でなく、こちらから連絡しないと面会の予定が決まらない」などがあります。

一度、面会交流で嫌なことがあると、それ以降の面会がとても難しくなります。面会を父親任せにして大丈夫なケースはレアだと思います。よほど仲の良い元夫婦以外は、事前に面会についてしっかり準備しておかないと、あとで揉めます。それは子供が好きな父親ほど多いと感じます。良かれと思ってしたことが逆効果になります。

・勝手に高額なプレゼントを渡した

・子供に近況や不満、母親の暮らしを過剰に質問する

・遠方の祖父母に会わせたいから年末年始は実家に連れていきたい

などです。ネットのサンプルにあるように「月に1回、何時から何時まで会わせる」だけでは、こうしたトラブルは防げません。当事務所の作成する離婚協議書には入学式などのイベントに参加しても良いか、親族や親族以外に会わせていいか、プレゼントを自由に渡していいか、などが書かれています。面会中に詮索しない、母親の近況を聞かない、親権を父親にするよう説得しない、なども書かれています。これらはすべて、実際にトラブルがあり、それを防ぐための項目です。

子供任せにしないこと、思考停止しないこと

このページを読んでいる方は、離婚後のお子様と父親の面会について気になることがある母親が多いと思います。

あくまで個人的な考えですが、やはり母親が責任を持って決めることが大切だと思います。子供が小学生以下の場合、大人と違って冷静な判断ができません。子供は嘘をつきます。子供の希望していることが、すべて子供のためになるわけではありません。ご飯の前にお菓子を食べたい、歯を磨きたくない、宿題したくない、と子供が言っても、それが子供のためにならないと思えば従わないはずです。

面会交流も同じで、やはり小学生以下の子供に任せることはできません。将来、「8歳のあなたが父親に会いたくないと言ったから面会しなくなったのよ。自己責任よ」というのは、あまりに酷です。

もちろん、逆に子供が父親に会いたいと言っている場合でも、母親が会わせない方が良い、と判断することもあるでしょう。良いと思います。

子供は判断できません。子供が父親と会いたいと言っていても、会いたくないと言っていても、面会するかどうかを決めるのは母親の役割だと思います。

もし悩んだときは、専門家に相談することもオススメです。例えば面会交流は「会う」だけではありません。テレビ電話をするとか、動画を送るとか、さまざまな方法があります。例えば父親に原因があって面会が不安なのであれば、父親に子供への動画を送ってもらう、ということがありました。動画であれば事前に母親が確認できるので、不適切な言動があって子供に見せられない、などが判断できます。母親や誰かが面会に同席する、いまはダメでも将来は宿泊の面会を許可するなど、タイミングもあるかもしれません。

面会する、しない、だけではなく、他の方法なども考えることが大切です。

 

面会を阻止するための依頼は受けられません

先日、弁護士さんが「親と子供の面会を阻止するための依頼」を受けることが話題になっていました。詳しくはこちら

当事務所では「子供と父親を会わせない」という離婚協議書や公正証書案は作成できません。そもそも公証人が書いてくれません。

もちろん、離婚原因がDV、中学生以上のお子様が面会を希望していない、そもそも父親が面会を希望していない、という場合に面会について書かないことは珍しくありません。ただ、「子供を父親を会わせない」と書くことはしません。お子様の権利を侵害してしまうためです。

どんな理由があっても、母親が我慢して父親の要求通りに父親と子供を会わせろ、ということではまったくありません。面会させない方が良いと思うこともあります。

大切なことは、事情によるのでそう簡単な話ではない、ということです。