接触禁止、口外禁止の合意書、誓約書

「離婚後は連絡を禁止にしたい」「婚約破棄してお互いに今後、一切関わらないようにしたい」「近所の人とトラブルがあったので口外禁止と接触禁止を書類にしたい」「元彼からの連絡がしつこくて困っている」など、誰かと今後一切、連絡を取らないという約束を書類に残したい、という相談は珍しくありません。

 

接近禁止?接見禁止?接触禁止?連絡禁止?

似たような言葉が色々とありますが、大まかによく使われる表現をご紹介します。

接近禁止

接近禁止で検索すると、接近禁止命令というワードがヒットします。接近禁止命令とは、DV防止法に定められている裁判所からDV配偶者への命令のことです。申立人の身辺をうろつくことや自宅や勤務先の付近に近づくことを禁止します。裁判所での手続き、ということが大きなポイントです。DV関係でお悩みの方はこちらでしょう。

接見禁止

接見禁止で検索すると、逮捕されたケースがヒットします。接見禁止とは、逮捕・勾留されている人に家族などと接見(会う)ことを禁止する処分のことです。今回の話には関係しないので省略します。

接触禁止・連絡禁止

接触禁止で検索すると、ほぼほぼ不倫関係のサイトがヒットします。浮気された奥様が、離婚しない場合に不倫相手の女性と旦那が二度と会わないように、不倫相手の女性に約束させる内容ですね。この接触禁止は不倫以外のケースでも約束することができます

ちなみに連絡禁止で検索しても、同じような意味で使われているようです。このページでは、以後、接触禁止と表現します。

 

合意書?示談書?誓約書?念書?

書類の名称も色々とありますよね。個人の見解をご紹介します。

合意書・示談書・和解書

この3つに共通する点は、相手と自分の双方がサインする点です。主に、お互いの権利義務を書く場合です。例えば、加害者は慰謝料を支払う、被害者は慰謝料を受け取ったら他に請求しないと約束する、などです。

お互いに口外しない、お互いに連絡しない、など双方に守ることがあれば、こうした形式になると思います。

慰謝料、解決金、示談金、迷惑料、損害賠償金など名目を問わず、お金のやり取りがある場合は和解書や示談書という形式が一般的です。お金のやり取りがない場合は合意書でも良いと思います。明確な決まりやルールはたぶんありません。

誓約書・念書・覚書

この3つに共通する点は、一方が相手方に差し出すという点です。サインする方(差し出す方)の義務や事実を認める書類です。

例えば「私は○さんと不倫したことを認めます」「私は二度と○さんの自宅や職場に近づきません」「私は○さんの悪口(嘘)を近所に広めたことを認めます」などですね。覚書は事実を認める場合、誓約書はなにか一方的な約束をする場合によく使われる印象です。

 

どんなときに作成するの?

接触禁止の書類はどんなときに作成するでしょうか?

・離婚後にお互いやお互いの家族に連絡や訪問をしない(離婚協議書)

・別れてストーカー気味の男性との約束(リベンジポルノ対策)

・婚約破棄の経緯と慰謝料についての和解書

・ネットに名誉毀損などを書いた相手との示談書

・絶縁したい親族との合意書

・いじめやご近所トラブルの相手と関わらないための合意書

などを過去に作成しました。70%は元夫、元彼、元婚約者などの関係です。あとはSNSへの書き込み、いじめ、ご近所トラブルですね。

 

どんな内容を書くの?

接触禁止の合意書に書く内容は「事実の確認」「慰謝料」「接触禁止」「口外禁止」「違約金」が主な内容です。

事実の確認

事実の確認は、なにがあったのかを明確にすると共に、今後の対策でもあります。例えば、付きまといやSNSの書き込み、いじめであれば、事実を明確にし、もしこの合意書に違反したら次は警察や学校に報告します、のような意味合いで書くことがあります。婚約破棄や交際の解消であれば、今後、新しい交際相手などにきっちり説明するために詳細を書きたい、などがあります。

慰謝料などお金のこと

先述しましたが、名目を問わず、なにかしら慰謝料的なお金のやり取りがある場合です。口止め料、詫び代なども同じです。その他、ストーカー行為によって引っ越したのでその費用、結婚式場のキャンセル料、壊した物の弁償代金、供養料、通院費、調査費用、休業補償金などなど、様々なお金のことを書きます。分割払い、期限の利益の喪失など。

接触禁止

やっと本題ですが、接触禁止です。誰が、誰に、どんな方法で、接触をしないか明確に約束します。

誰が

基本的には署名押印する本人ですが、その親族も接触させないようにしたい、などがあります。

誰に

こちらも本人以外に、その家族、親族、友人、職場、関係者などに接触させないようにしたい、などがあります。

どんな方法で

面会、電話、LINEなどのSNSで。自宅、実家、職場、その最寄駅、エリアなどに連絡や訪問をしない。客としても関係先のお店に行かない。

口外禁止

事実に対し、この合意内容に関し、一切の口外をしない、などと書くことがあります。その他、この件をTwitterやInstagram、Facebookに書き込まない、削除する。匂わせるようなことも書かない、など。

違約金

この書類の目的は○○しないこと、と約束することではありません。その約束を守って貰うことです。そのためには、この契約書に違反したら違約金を支払う、と書くことがあります。

接触禁止を破って連絡したら違約金、だけではなく、それによって生じる損害賠償の予定や、裁判や弁護士に依頼する費用の負担なども書くことが可能です。

その他

・連絡先(電話番号やアカウント)の削除、写真やメールの破棄

・年賀状やプレゼントの破棄

・お互いに迷惑行為をしない

・いついつまでに仕事を辞める、引っ越しする

・清算条項(お互いにお金の貸し借りはないよ)

などなど、色々とあります。札幌市のマラソン大会に出ない、○○には就職しない、などもありました。

 

効力はあるの?

最も気になる点は、その書類に効力はあるの?ということだと思います。

個人の見解ですが「一定の意味はありますが、その紙ですべてが解決するわけではない」と思います。

例えば、こうした合意書を交わした後に相手があなたの職場に来たとします。もちろん、違反だ!と思うでしょう。ただ、それでどうなるかと言えば、難しいところです。警察を呼ぶかどうかも自分ひとりでは決められませんし、職場によっては困難です。仮に警察を呼んだとして、逮捕されるなどはないと思います。あくまで個人間の約束なので、裁判所の出す接近禁止命令(保護命令)などとは扱いが違います。(こちらは違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の可能性)

結局、そのあとにこの書類と違反した証拠をもとに、違約金などのお金を後から請求できる、ということに過ぎません。(場合によっては警察や学校に相談することも可能です) SNSなどは誰が書き込んだかを特定することは困難です。極端に言えば、匿名でビラをまかれた、などは防ぎようがありません。

もちろん、予防や牽制の意味はありますし、今後のアクションの証拠や根拠のひとつにはなります。ただ、100%大丈夫、安心、ということではありません。(これはどんなことでも同じですが…)

目的や状況に応じて、効果や記載内容は異なります。このあたりは難しいので、適切な機関・専門家へ相談されることをオススメします。私文書を取り交わして終わりなのか、裁判所の保護命令や警察への相談などが適切なのか。逃げる、関わらない、という選択肢もあるかもしれません。

 

注意点は?

よくある注意点などをご紹介します。

署名する義務はあるの?拒否されたときは?

まず大きなポイントとして、相手がこうした書類にサインする義務はほぼない、という点です。相手が悪いんだから書くべきだ!などは道徳としては共感しますが、義務はありません。もし拒否されたときは、諦めることもあります。

やはりこうした書類は、相手にもメリットがあることが大切です。例えば、これを書いてくれたら慰謝料を請求しない、警察に被害届を出さない、学校に報告しない、など、相手に得があればサインしてくれる可能性が高まります。

その他、過剰な内容にしない、相手のプライドを傷つけない、などもあります。専門家に相談すると安心です。

他人の義務はほぼ意味がない

「あなたとあなたの家族は私に連絡しない」と書いても、家族の責任までその人がすべて負えるわけではありません。基本的には、その書類にサインした人にしか意味はありません。もし、相手の家族にも約束させたいのであれば、その人たちにもサインを貰うべきです。ただ、現実にはそう簡単な話ではありません。

 

トラブルの最中であれば警察や弁護士さんに

当事務所では行政書士として、こうした書類を作成できます。ただ、行政書士は弁護士さんと違って、相手の人と交渉したり、説得したりはできません。揉めているときに書類は作成できません。あくまで、円満な解決が可能なときに書類を作ることしかできません。交渉や裁判所での手続きをお考えであれば、お近くの弁護士さんにご相談されることが一番です。

また、生命や安全に関わる緊急事態や、不安でやばいときはすぐに警察に電話しましょう。お金より健康が大切です。刺されたあとにお金を貰っても幸せではありません。。

 

逆に命の危険はないけれど、こんなことでも書類って作成できますか?などは得意です。過去に様々な書類を作成してきました。お気軽にご相談くださいね。