養育費保証サービスと注意点

養育費を保証してくれるサービスがあることをご存知ですか?

元夫が養育費を払ってくれないときに、保証会社が代わりに養育費を払ってくれる、というものです。ただ、いろいろと知っておくべきこともあります。ここでは未払いが起こったときではなく、離婚時のケースをご紹介します。

 

最近、増えている

最近、当事務所に離婚協議書や公正証書案の作成をご依頼される方から、養育費保証会社や保証サービスについて聞かれることが増えてきました。当事務所としても、ぜひ利用した方が安心だと感じています。

2019年のニュースでは、大阪市や明石市など行政がこうした養育費保証会社の利用をサポートを検討していると報じられました。市によって異なりますが、保証料や公正証書作成費用を市が援助してくれるところもあるそうです。残念ながら札幌市ではまだですが、将来的にこうした助成がスタートするかもしれません。

大阪市:養育費の保証促進補助金

明石市:離婚後のこども養育支援

湖南市:養育費の保証促進補助金と養育費に関する公正証書等作成促進補助金について

 

そのほかにも仙台市、船橋市、横須賀市、神戸市、福岡市なども、初回保証料(の一部)を負担または助成してくれるようです。(上記の市町村に住んでいないと利用できない、ということではありません)

 

養育費の保証とは?

そもそも、養育費の保証会社ってなにをしてくれるの?という疑問があると思います。

ざっくり、父親が養育費を払ってくれないときに、父親の代わりに保証会社が養育費を払ってくれる、ということです。そして、その養育費は、保証会社が父親にあとで請求(取り立て)をすることになります。

 

養育費の保証会社って?

養育費保証サービスを行っている会社はどんどん増えています。2020年7月現在

以前(といっても2018年)から「株式会社イントラスト」と「日本法規情報株式会社」がありました。

2020年4月に「株式会社Casa」がサービス開始を発表しました。

2020年6月1日にZOZO創業者の前澤友作氏が「株式会社小さな一歩」に関わることが発表されて大きな話題になりました。

2020年7月1日には「養育費保証のミライネ」(株式会社オリエント)がサービス開始を発表しました。業界初の最大24ヶ月の養育費保証が売りのようです。

※あくまでニュースなどで知っている範囲なので他にもあるかもしれません。詳細は各社に聞いてください…。

 

最大のメリットは、舐められないこと

あくまで個人的な意見ですが、保証会社を利用する最大のメリットは、父親から舐められないこと、だと思います。

養育費を払わなくなる人のセリフは決まっています

・給料が減ったから今月から○万円にする

・お金がないから来月まとめて払う、ボーナスで払う

・忙しくて入金する時間がない

・生活が苦しくて払えない

・再婚するから払えない

などです。当たり前ですが、こんな理由で養育費を減額することはできません。一方的に養育費を減額できたら、なんの意味もありません。もし本当に給料が大幅に下がって養育費が払えない場合、父親が調停を申し立てるなどして、正式に変更すれば良いだけです。しかし、多くのケースでは正式な手続きをせず、勝手に払わなくなり、連絡が取れなくなり、母親が諦めることになるのです。つまり、父親が母親を舐めている(見下している)ことが最大の原因だと感じます。

これが保証会社を通すと、(普通の人は)こんなふざけたことは言えなくなります。そうした事情があれば、適切な手続きを行ってください、と言われるだけです。そうでなければおそらく、その人が訴えられたり、財産を差し押さえられるだけです。

 

デメリットや懸念もある

ただ、デメリットというか、注意点もあります。

保証料がかかる

まずシンプルに、保証料がかかります。未納がなく父親が協力してくれるケースで、養育費の1ヶ月分から1割程度がかかるようです。その他、毎月、振込手数料の数百円もご自身の負担となるようです。

父親が利用する義務はない

また、父親が保証会社を利用する義務はなく、強制はできません。父親が協力しなくても利用できるプランもあるようですが、保証料が高くなるようです。保証料をどちらが負担するかも含めて考える必要があります。

保証サービスの今後

養育費の保証サービスを日本で初めて開始した「株式会社イントラスト」のプレスリリースによれば、2018年2月から試験的な販売を開始します、とあります。つまり、比較的、最近スタートしたサービスです。今後、このサービスが広まるのか、いつか終わりが来るのかは分かりません。ただ終身保険のように期間が長いものではないので、リスクは低そうだとも思います。

【2020年7月27日追記】

日本弁護士連合会から各弁護士会長宛てに養育費保証サービスに関する注意喚起があったそうです。難しい話です。主に弁護士法や職務規定に違反していないか、という保証会社側の問題らしいです。あまり利用者に関係はない気がしますが、動向を注視したいと思います。詳しくは検索してみてください。

 

絶対に最後まで養育費が受け取れるわけではない

一番知っておいて欲しいことは、保証会社を利用すれば子供が就職するまで絶対に養育費が受け取れる、というわけではない、という点です。

正当な理由があれば養育費は支払われない

さきほども書きましたが、正当な理由があり、適切な手続きを行えば、父親から養育費を減額できます。例えば、父親が無職になった場合です。また、父親と完全に連絡が取れない、居場所が特定できない場合も難しいようです。

父親が働く義務はない

最も困るのは、父親が働かない、大きく年収が下がる場合です。当たり前かもしれませんが、父親が働く義務はありません。(3大義務の話ではありません)

父親の収入がなければ養育費は受け取れません。ただ、これは保証をつける・つけないに関係ありません。

 

個人的にはオススメ

ちょっと脅すようなことを書きました。しかし、個人的には養育費保証サービスはオススメです。保証料がかかること以外のデメリットはほとんどないと個人的には思います。

 

公正証書にしておくのがオススメ

養育費保証サービスを検討するのであれば、必ず公正証書にすることがオススメです。

サービス自体は離婚協議書や覚書でも利用できる可能性があります。しかし、プランによっては、「公正証書、調停調書、審判書」の公の文書、と書かれています。将来に備えて、調停をしないのであれば公正証書にすることがオススメです。

 

養育費保証サービスに詳しい専門家に

養育費保証は比較的、新しいサービスです。なにか起こったときの裁判例なども不明です。今後、どのような発展や注意があるか、そうしたことに詳しい専門家に相談されることをオススメします。

特に、公正証書にする際にどんな点に注意するかなど、よく理解している専門家にご相談くださいね。