公正証書の代理人のリスク、交付送達、キャンセル料について

「公正証書は自分でも作れますか?」「公証役場への代理人をお願いできますか?」とご質問されることがあります。ここでは離婚に関する公正証書の作成について、公証役場の公式サイトに書いていないことを中心にご紹介します。(あくまで行政書士札幌中央法務事務所の見解です)

 

公正証書を自分で作るリスク

離婚の公正証書は、ご自身でも作成できます。事前に公証役場に相談して、持ち物などを教えてもらって、二人で行けば作成できます。では、専門家に依頼する場合となにが違うでしょうか?

どちらかに有利、不利なことは教えてくれない

公証役場で相談すれば、一般的な公正証書に書くことをアドバイスしてくれます。「養育費や慰謝料の振込手数料を誰が負担するか書いた方が良いですよ」「慰謝料の分割払いが滞ったときの期限の利益の喪失についてどうしますか?」などです。また、書けないことも教えてくれます。

ただ、公証人は公平な立場なので「これはあなたに不利ですよ」などは教えてくれません。知らないわけではなく、知っていても立場上、言えないそうです。

公証役場や公証人によって指摘は違う

公証役場は全国にあります。手数料は全国で同じです。しかし、公証役場や公証人によって、書けること、書けないこと、表現、持ち物などが意外と異なります。当事務所でも実際に、いつもと同じような案を送っても、いつもと違う公証人だと断られたことがあります。

ネットのサンプルや本を参考にして自分で公正証書にしようとしても、それが必ずしもOKされるとは限りません。こうしたとき、ご自身でそれが普通のことなのか、特殊なことなのか判断できないと思います。何十回も離婚の公正証書案を作成している専門家であれば「普通に書けますよ」とアドバイスできます。

公正証書を作ることが目的ではない

当事務所が最も重要だと思うことは「公正証書を作ることが目的ではない」ということです。

公正証書を自分で作る方法は、検索すればいくらでも探せると思います。しかし、公正証書を作っても養育費が不払いになったら何ができるか、そうならないためになにができるか、を理解することは非常に難しいです。強制執行ができる、と簡単に書いていますが、それにいくらかかるか、どういうデメリットがあるか、などです。

公正証書を作れば、絶対に最後まで養育費が受け取れるわけではありません。どういうときに受け取れなくなるか、どういうリスクがあるか、再婚したときにどうなるか、などを知っておくことが重要なのです。当事務所では養育費保証サービスや学資保険のことなど、公正証書以外にどんな方法があるかもアドバイスしています。

公正証書を作ることではなく、お子様の利益を最大化することが目的です。専門家に相談する一番のメリットは、内容が違う、ということです。

 

代理人はお受けしていません

公正証書は、委任状を作成して代理人が行くことで作成することも可能です。ただ、当事務所では代理人はお受けしておりません。理由は2つです。

後のトラブルを防止するため

公正証書は、ご本人が運転免許証やパスポートなどの身分証を提示して本人確認し、内容を黙読や読み聞かせてして確認し、署名押印して作成します。このため、あとで「俺はサインしていない」「内容を読まずにサインした」「無理やりサインさせられた」などを言っても無駄になります。

しかし、それが委任状で代理人に任せた場合、そうしたことを言い出す可能性が増えます。もちろん、法的には、そう簡単にその主張が認められるわけではありません。しかし、実際に、委任状は酔っ払った状態でトイレの中で書いてもいいわけです。結果的にどうなるかは別として、そう言い出すこと自体が面倒なのです。

責任を自覚して貰うため

例えば、養育費を受け取る側(主に母親)がDVなどが原因で、どうしても相手に会いたくない場合などは代理人に任せても良いと思います。しかし、当事務所で代理人をお願いされるケースのほとんどが「旦那がそんなとこ行きたくないと言っている」「旦那が忙しくて平日に休めないと言っている」という理由です。

正直、そうした状態は、そもそも養育費を払う気持ちがあるのか疑問です。公正証書にしたら踏み倒せなくなるから公正証書にしたくない、のかもしれません。余計に代理人にしない方が良いと感じます。

忙しくて平日に休めないという方がいることも理解しています。しかし、お子様の人生に関わる重大なことです。おそらく人生で1回きりのことです。公証役場での時間は1時間程度です。親が危篤でも仕事に行きます、という方でなければ、お二人で公証役場に行くことは可能だと思います。

 

交付送達とはなにか?

公正証書を作っても養育費が不払いになった場合、強制執行という手続きができることはご存知だと思います。強制執行をするためには、「送達」と言って、父親に公正証書(の謄本)を正式に渡す必要があります。単に、自分で手渡ししても送達にはなりません。

交付送達とは、公正証書を作成するときに、公証人役場内で、本人(父親)に送達することです。これは父親本人が公証人役場に行った場合にしかできません

一般的に、離婚の公正証書は、お二人で公証役場に行って、この交付送達まで行うことがオススメです。基本的には公証役場で交付送達の案内があります。教えてくれます。この手続きを行うと、送達証明書を発行して貰えるので、公正証書とともに保管しておくと安心です。

 

キャンセル料が請求される場合も

公正証書を作成する場合、公証人が色々とチェックして、案文を作成します。色々と手間がかかっているということです。基本的には離婚の場合、公証人役場に支払う手数料などで2万円から5万円程度になると思います。記載する内容によって金額は変わります。

もし、案文を作ったあとに「やっぱり公正証書はいらない」となった場合、案文を作る手間が無駄になってしまいます。その場合、キャンセル料として2万2千円を請求されるそうです。(実際に当事務所でそうしたケースは過去にないので、伝聞です)

やむを得ない事情で延期などはありますし、追加で費用は発生しませんが、基本的には予約したらキャンセルはできない、キャンセルする場合はキャンセル料が発生する、と考えた方が良いでしょう。

 

予約は3日以上前からお願いします

上記の通り、公証人も準備が必要です。「明日、公証人役場を予約したい」などは基本的には無理です。当事務所では、営業日で3日以上、空けて予約します。ただ、3日後の10時、と言われても、公証人が出張で不在であったり、他の予約が入っている可能性があります。予約する際は、○月○日終日、○日午前中、○日13時以降、など、幅をもって、複数、教えて頂いています。